PARCIC

ガザ地区における羊の畜産支援

美味しい乳製品を作っています!(女性組合の活動)

酪農を通じた女性グループの生計支援事業」(2018年1月~2022年2月)でパルシックが支援してきた女性たちのうち、44人が女性協同組合のメンバーとして活動を続けています。2022年1月ラファ県アルショカ村にチーズ工場をオープンしてから(チーズ工場のオープニングの様子)、組合メンバーはそれぞれの得意分野を生かして役割分担し、乳製品を常時生産できる体制を作り、市場の拡大や新商品の開発を行ってきました。

同組合では現在、牛乳のチーズと羊乳のチーズ、製菓用のチーズとヨーグルトを中心に常時製造・販売しています。具体的にどのような商品を作っているか、ご紹介します。まずは牛乳のチーズと羊乳のチーズです。

牛乳のチーズは主に2種類(AsfateetとHaseera)あり、HaseeraはAsfateetと比べると水分量が少なく濃厚です。ガザ事務所のスタッフで、女性組合のチーズの販売やマーケティングを熱心に支援するシャディは、とりわけHaseeraが美味しいと絶賛します。

パッケージ前の、型に入れて成形した牛乳のチーズ(Asfateet)

袋に入っているのが牛乳のチーズ(Haseera) で、青いプラスティック容器は水切りヨーグルトのラバネ

牛乳のチーズ(Haseera)をパッケージ用サイズにカットしたところ

一方羊乳のチーズは希少で、羊の搾乳シーズンのみ製造と販売ができます。私たちが畜産支援をしている小規模羊農家50世帯が搾乳した羊乳の一部も女性組合が購入し、羊乳チーズの原料となっています。(前回記事:「搾乳機で、羊の羊乳が楽しく簡単に

羊のチーズのパッケージ

日本で製菓用のチーズというと、お菓子作りをされる方はクリームチーズやマスカルポーネなどの柔らかいチーズが思い浮かぶのではないでしょうか。女性組合で作っている製菓用のチーズは、弾力があって伸びがよく、パレスチナの定番のお菓子クナーフェ[1]に欠かせない材料です。

クナーフェ(西岸地区のナブルス発祥のアラブスイーツ)にも使われる製菓用のチーズ

続いてヨーグルトです。ヨーグルトは日本でも売っているような普通のヨーグルトとラバネと呼ばれる中東地域でよく食べられる水切りヨーグルト、サワーヨーグルトと呼ばれる甘さ控えめで少しこってりした飲むヨーグルトがあります。ガザ地区にはこれらのヨーグルトの製造会社が多く、市場での競争相手が多い商品となっています。そのため女性組合では、ユニークな商品として唐辛子が入ったサワーヨーグルトを製造し、販売しています。味はアクセントになる程度の辛みがありますが、基本的には甘さ控えめの飲むヨーグルトです。唐辛子入りのサワーヨーグルトはガザではよく飲まれているものですが、一般的に各家庭で普通のサワーヨーグルトに唐辛子を入れて作るもので、商品として売るのは珍しい試みです。

左がヨーグルトで右が唐辛子入りのサワーヨーグルト

これらの商品はスーパーマーケットに卸売りするほか、地元の小さな商店や個人で販売を行っています。今後さらに多くの地元の方に購入していただけるよう、組合は営業活動にも力を入れていく計画をたてています。 

常時製造ではありませんが、展示会用にパプリカ入りのチーズも作りました

いろいろな種類のチーズを試作し、商品開発に取り組んでいます

私はまだこれらのチーズを食べたことがないため、実際に食べられる日を心待ちにしています。これからも女性組合を応援していきたいと思います!

[1]クナーフェとは、パレスチナのナブルス発祥のお菓子。チーズの上にセモリナ粉でできたカリカリの生地をのせ、甘いシロップをかけてピスタチオをまぶした伝統菓子。

(西岸事務所 吉田)

*この事業は日本NGO連携無償資金協力、連合・愛のカンパの助成および皆さまからのご寄付によって実施しています。

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