イスラエル占領下のパレスチナヨルダン川西岸地区ナブルス県において、環境保全を目指した循環型社会の形成事業を2016年からジャマイン(Jamma’in)で、2019年から北アシーラ(Asira Ash-Shamaliya)で実施しています。
ジャマインおよび北アシーラはオリーブ栽培を中心とした農業が盛んな地域です。これらの地域では、当然家庭ゴミが排出されますが、ゴミ処理環境が整備されておらず、また、イスラエル占領下で移動が制限され、ゴミ処理場のある隣県にゴミを運ぶことができません。そのため、ゴミは空地に集積・投棄され、大切なオリーブ畑が新たなゴミ集積場として切り開かれることもあります。投棄されたゴミから悪臭が漂い、虫が湧いたり、動物がゴミを食べにきたり、劣悪な衛生状態が問題になっています。
調査の結果、集積場に投棄されるゴミの85%が生ゴミであることが分かりました。ゴミの分別の習慣が根付いておらず、資源ゴミなどがきちんとした設備を用いずに焼却されるため、ゴミの焼却によって有害物質が排出されたり、火が周囲の畑に燃え広がったりすることもあります
パルシックでは、このような環境を改善し、循環型社会の形成を目指して、地域社会の環境意識の向上、ゴミの分別および再利用を通したゴミの減量、生ゴミを利用した有機堆肥づくり、有機堆肥を使用した農産物の生産拡大などに取り組んでいます。
ジャマインでは、村の人口の半数近くを18歳以下の子どもが占めているため、5つの公立学校の子どもたちを対象に「環境クラブ」を立ち上げ、学校菜園と家庭の生ゴミを利用した有機堆肥作りを通した教育活動、地域の女性を対象に生ゴミから有機堆肥を作るトレーニング、作った堆肥を使用して作った野菜やハーブで調理パンを作り販売する活動などを行いました。
北アシーラでは、2019年より5年間の事業として活動を開始しています。ゴミの分別を定着させるために、町役場と協力して分別を色で認識できるカラーボックスの設置、専門家の指導による有機堆肥作り、同堆肥を使った野菜や果物づくりを行ってきました。事業を長く継続してきた成果として、住民にゴミの分別意識が定着しつつあることに加え、自家製の有機堆肥による野菜は農薬を使用した一般の野菜よりも葉が大きく青々として美味しく、やりがいを感じながら皆さん積極的に取り組んでいます。
※この事業は地球環境基金の助成および皆さまからのご寄付により実施しています。
地球環境基金
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