PARCIC

漁民によるマングローブ植林活動(2010年~)

PIFWA のメンバーは伝統的な漁法で小規模沿岸漁業を続けるマレー系漁民の団体です。失われたマングローブ林を再生し、沿岸の資源を守ることを目的としたマングローブの植林事業を行っています。

パルシックが支援する漁民組織PIFWA

現在、ペナン州の主要な産業は圧倒的に製造業であり、その次が商業、観光業と続きますが、生産活動人口の約2.4%が農業・漁業・林業に携わっています。PIFWA (ペナン沿岸漁民福利協会:Penang Inshore Fishermen Welfare Association)のメンバーはそうした中で伝統的な漁法で小規模沿岸漁業を続けるマレー系漁民の団体です。

マレーシアでは海岸から5マイル以内でのトロール船の操業は禁止されています。ただ、その強制力は弱く、マングローブが繁った豊かな沿岸でもトロール船が操業しています。また、沿岸の開発や工場の汚染水などによって漁獲高が減ったことなどに、危機感を募らした漁民自身が集まってPIFWAをつくり、トロール船への抗議活動や工場などの監視活動を始めました。現在は、工場や生活排水による水質汚染、エビの養殖池の建設、沿岸の開発などにより、ペナン近郊のマングローブ林が減少する中、失われたマングローブ林を再生し、沿岸の資源を守ることを目的とした、マングローブの植林事業も行っています。

マングローブ植林の様子

マングローブ林とPIFWA

マングローブ林のまわりには、様々な種類の魚がいることを昔から漁民たちはよく知っていました。マングローブ林がないところには、魚のえさがないとPIFWAの代表のイリヤスさんは言っています。同じくPIFWAメンバーのスレイマンさんは「エビの養殖場を建設するために何百本ものマングローブを切り倒して、すぐに魚はとれなくなったよ。前は、一日100匹とれた蟹が、今は30匹になっちゃった」と言います。

PIFWAリーダーのイリアスさん

PIFWAリーダーのイリアスさん

政府の調査によるとイリヤスさんやスレイマンさんが漁業をするペナン州の半島側の西側地区では、その漁獲高の実に42.5%がマングローブ林地帯から捕れるのです。PIFWAのメンバーは、自分たちが持続可能な漁業を続けるためにできることが「マングローブ」の植林活動だと気づき、1997年から植林活動を始めました。マレーシアには全体で641,000ヘクタールのマングローブ林がありますが、そのほとんどがサバ州・サラワク州にあり、マレー半島側にはその約17%しかありません。ペナン州では1966年ごろから毎年約130ヘクタールのマングローブ林が伐採され続け、現在では900ヘクタールしか残っていません。

漁をする地域漁民

PIFWAは、これまでに約16万本の植林をしてきました。地元の学校や企業からの参加を得て、活動の知名度は上がってきています。こうしたPIFWAの努力を支援することからパルシックのプロジェクトも始まりました。2011年、国内外の人びとに、マングローブ林を守ることの重要性を伝えるための教育センターが建設されました。環境保護の取り組みは、地域住民が一体となり、理解を進めてゆくことが重要です。これからの未来を担う、若者たちに、ぜひたくさん活動を見に来てほしい、と、PIFWAのメンバーは語っています。パルシックは、植林活動支援、PIFWAメンバーと地域漁民との交流支援、教育センターの設立支援を行っているほか、毎年、PIFWAの活動地を訪問し、ペナンの沿岸漁民と日本の人びとの交流をすすめています。

PIFWA 活動紹介動画(YouTube)

ペナンでは、工業化や観光開発とともに、人口増による生活排水によって河川や海洋が汚染され、マングローブ林の減少と沿岸水産資源の枯渇が進んでいます。PIFWAはマングローブ林を植えて、水産資源の保全に取り組み始めました。

スタッフレポート

ペナン・グルメ探訪 ~その1~

小規模漁民グループのマングローブ植林と女性グループによる食品加工の支援事業を行っているマレーシアのペ…