PARCIC

ガザ地区における羊の畜産支援

搾乳機で、羊の搾乳が楽しく簡単に

5月9日から約5日間続いたイスラエル軍とガザの抵抗勢力組織の衝突から一ヶ月が経過しました。交戦中は一時停止していた畜産支援事業も無事再開しています。(空爆に関する記事:「ガザの停戦を受けて-現地からの報告-

6月は羊の繁殖期です。畜産専門家や獣医によるアドバイスを受けて、羊の交配が始まっています。また、3月から4月に生まれた仔羊を販売するシーズンも始まっており、複数頭の仔羊が生まれた農家は、そのうち数頭を販売し収入を得ています。

時間が遡りますが、3月、4月に仔羊が生まれた農家は、5月初旬まで搾乳で忙しくしていました。空爆前の4月に、事業に参加している50世帯の羊農家に手動搾乳機を配付しました。これまで参加者は羊の搾乳を手で行っていましたが、搾乳機を使用することで素手で触れることなく保存容器に溜められるので、羊乳をより衛生的に管理できるようになり、誰でも簡単かつスピーディーに搾乳できるようになりました。

搾乳機。ハンドルを握ることによって、力加減を一定にできるので誰でも簡単に搾乳できます

黒色キャップは羊の乳房を模したもので、孤児や双子の仔羊に乳を飲ませるときに使用します

アル・マナーラ村の参加者 ヌジュドさんへのインタビュー

早朝の搾乳の時間、西岸事務所とガザをビデオ通話で繋ぎ、搾乳中のヌジュドさんにインタビューしました。

(吉田)「ヌジュドさんは毎日搾乳をしているのですか?手動搾乳機には慣れましたか?」

(ヌジュドさん)「手動搾乳機をいただき、毎朝夫と楽しく搾乳していますよ。夫が搾乳をしている最中は私が羊の頭を撫でて羊が穏やかでいるようにします。手動搾乳機を使い始めた当初は若干の難しさを感じましたが、今では慣れて以前よりも簡単かつスピーディーに搾乳ができて助かっています。」

手動搾乳機を羊の乳房にセット

(手前)夫のハムディさん。(奥)ヌジュドさん。早朝から夫婦共同作業で搾乳を楽しむことが日課になりました

ヌジュドさんも慣れた手つきで搾乳しています

子どもたちも搾りたての羊乳を喜んでいます

(吉田)「小さなお子さんも羊がお好きなようですね。搾乳した羊乳はどうしていますか?」

(ヌジュドさん)「羊は家族の一員です。私は子どもが8人いますが、子どもたちも羊が大好きです。また羊乳も皆大好きです。今まで他の羊農家から羊乳を購入することもありましたが、水でかさ増しされていました。それと比べると、自分たちで育てた羊の羊乳は100%ピュアで、濃厚かつミネラルが豊富だと感じます。とても美味しいです。また自分たちで羊の体調に合わせて薬を与え、健康状態も毎日確認していますので、羊乳も安心して飲めます。一部はミルクのまま、またはチーズに加工をして子どもたちと食べます。残りは女性組合(*)に販売しています。」

*「ガザ地区女性世帯への生計支援」に参加した女性たちが結成した協同組合。乳製品を作り販売している。

羊と遊ぶのが大好きな末っ子

羊は家族の一員です。みんなで大切に飼育しています

最後にヌジュドさんの今後の目標を尋ねたところ、「大きな農場が欲しいです。今後も羊をたくさん育てて規模を拡大したいですね」とのことでした。

ヌジュドさん、ありがとうございます!これからも、楽しみながら羊の飼育を続けていってくださいね。

(西岸事務所 吉田)

※この事業は日本NGO無償連携資金協力、連合愛のカンパの助成および皆さまからのご寄付によって実施しています。

関連プロジェクト