トルコ南東部を襲ったこの地震による死者は50,000人以上、負傷者は107,000人と甚大な被害を及ぼし、被災者は910万人に上ります。[1]壊滅状態になった被災地を離れるなど、地震によって移動を余儀なくされた人は300万人に上り、カフラマンマラシュ県やハタイ県など特に被害が大きい県を中心に160万人がInformal Settlementと呼ばれる、政府の支援が届かない非公式テント居住地で避難生活を続けています。(2023年4月末時点)
トルコ南東部は、トルコに滞在するシリア難民のうち約50%の150万人を超えるシリア人に加え、他の国からの移民も暮らす地域です。また、同地域は農業や酪農が盛んな地域でトルコの食を支えていた農家や酪農家の多くも被災しています。
パルシックは、様々な事情から政府の支援が届きにくい人びと、例えばシリア難民でIDカードを所持していないために支援を受けられない、被害が甚大で政府の支援が追い付いていない地域など、これまでの活動で築いてきた人的ネットワークを通じで必要な生活物資の支援を行ってきました。また、カフラマンマラシュ県の市役所と協力し、元々生活保護を受けるなど経済的に困窮している在宅被災者に食料と調理に必要なガスボンベを配付しました。
今回の地震は広範囲にわたり被災規模も大きいため復興にはまだまだ時間がかかることが予想されます。パルシックは2015年から2019年まで今回の震災被害のあったシャンルウルファ県でシリア難民支援を行い、その時の知見を活かし、トルコに腰を据え、生計支援など復興への取り組みを一緒に考えていく予定です。
シリア北部を襲ったこの地震により、シリア国内では5,900人以上が亡くなり、被災者は880万人に上ります。[2]トルコと大きく状況が違うのは、シリアは2011年に発生したシリア危機以降内戦状態にあるという点です。被災地のシリア北部は政府支配地域と反政府支配地域が接する境界地域にあたり、発生直後から、政府の支配が及ばない地域への支援の遅れが指摘されてきました。この地震により35万人が避難を余儀なくされていますが、震災前から何百万人もの人が国内避難民となり、住民の大半が国連などの支援を受けながら生活をしていました。
パルシックは提携団体を通じて、医療品の配付、ストーブやマットレス、衛生用品の配付を行いました。また、イスラム教徒にとって大切なイベントであるラマダン(断食)の時期に合わせて食料バスケットを配付しました。
今後は、家屋が被災した世帯への修繕支援を行う予定です。10年以上続く内戦により、社会インフラの多くが破壊されていた地域で追い打ちをかけるように発生した地震は多くの人に更なる困難を与えています。復興に向けて何が出来るのか、少しでも前向きに進めるには何をしたら良いかシリアの人びとと一緒に考えていきます。
[1]OCHA, Türkiye: 2023 Earthquakes Situation Report No. 16, as of 27 April 2023
[2]OCHA, Syrian Arab Republic: Earthquakes – Syria Situational Updates No. 7 – As of 12 April 2023