私たちの生きている21世紀の世界は、さまざまな矛盾に満ちています。前世紀以来の工業化や近代化の結果、経済的な格差の拡大、天然資源をめぐる利権と乱獲、環境破壊が深刻化して、局地的な戦争の多発、民族抗争の激化などを引き起こしています。それに加えて、自然災害などの被害も大規模化しています。
パルシック(PARCIC=PARC Interpeoples’ Cooperation)が目指す民際協力は、地球上の各地で暮らす人びとが国民国家の壁を乗り越えて、直接的に助け合う世界です。同じ時代に共に生きる人間として、相互に支え合う道を拓きます。いうまでもなく、主権国家相互の国際関係、その連合組織としての国際機関などを無視することはできませんが、直接的かつ自然的な関係であると同時に人間的で対等な関係作りに参画します。
眼前の世界の現実は、異なった地域に暮らす人びとが、自ら当事者として取り組み、共同作業することを求めています。違った体験を持つ多様な人びとが、多角的な視点から、多重に多元的に協力してこそ、新しい主体を形成できます。老若男女の地域住民が社会の主人公として、自分たちの生き方を決め、豊かな暮らしを築く世界を目指しましょう。
そのような世界へ至る手段は、ひとつだけではありません。異なった条件のもとでは、異なった対応が必要です。人間社会のもめごとには、多くの要因や相互作用が絡んでいます。それを解きほぐすには、丹念な探究が不可欠です。私たちは、地域の現実に即した調査活動を行います。そして積極的な解決案を模索します。
いかなる紛争の現場にも、暴力の匂いが付きまとっています。あらゆる戦争が軍事力の行使である以上、パックス・ロマーナに始まる世界の歴史が示すように、 世界の平和もまた軍事力によって達成されると信じられてきました。しかしながら、パルシックはそのような手段を採用しません。非暴力的な方法による、紛争解決の道を目指します。
私たちは、必要とあれば紛争の現場に赴き、その歴史的社会的な背景や問題点を関係者から丁寧に聴き取り、いかに特殊な問題であっても具体的な生活の課題に即した解決案に取り組みます。その方法は、武力抗争の対極にある、交流、交換、交信、交易などの営みです。
パルシックの活動は、直接的な交流、交易を重視します。商品の生産、流通、消費などが、市場の価格だけを判断基準にするのではなく、人間的な交流と信用に基づくことを大切にします。交換を通じて、商品だけでなく双方に欠けているものを互いに補います。そして、できるだけ多くの交信手段を使って相互理解を深めます。交易も「すべての当事者が対等な立場から適正な利益を得る」フェアトレードに力を入れます。このような活動こそ、民族抗争や地域紛争が引き起こす民衆の困難を解決する道だと信じるからです。
これまで土地売買の自由化、低賃金労働力の国際移動、そしてなによりも金融市場のグローバリゼーションが、凶悪な力となって、人びとの生命と暮らしを破壊してきました。そのような潮流に対して、パルシックの活動は、「暴力と戦争」から「対等な交易と協力」への方向転換を目指します。