2012年度にジャフナで始めたサリー・リサイクル・プロジェクトは、2015年4月、事業地を隣県ムライティブにも拡大し、現在2県あわせて約80名の女性たちが縫製に参加しています。このプロジェクトでは、津波や内戦の被害で家族を失ったジャフナ、ムライティブの寡婦女性たちを対象にミシンを提供、縫製技術を指導して、スリランカの首都コロンボや日本からの縫製専門家のサポートを受けながら、ブラウスやバッグなどの縫製製品を作っています。
材料の布地は、コロンボを初めとするスリランカ南部の女性たちが、家庭でタンスの肥やしとしているサリーを、寄付として提供してもらいます。サリーはスリランカで女性が着る民族衣装で、幅約1.2メートル、長さ約5.5メートルの布をひだにして体に巻き付け着用します。式典で正装として着られる他、役所の職員や学校の先生たちには日常的に着られているもので、ある男性が、パートナーが持つサリーの数が式典の度に増え閉口している、と口にしたことに着想を得、この事業が実現しました。
サリーで着飾った教員の女性たち
トゥンパライ村のメンバー
縫製研修の様子
できあがった製品は、“Sari Connection”というブランド名を付けてコロンボの洋品店や土産物店などで販売しており、その売上が女性たちの収入となります。事業を通して女性たちの収入向上を目指すと同時に、内戦後のスリランカ北部の現状についてほとんど知る機会がない南部の人々に、北部の人々が直面している困難を伝え、さらに南部の女性と北部の女性の間にサリーと商品のやりとりを通じたつながりを作り出して、相互理解と平和構築に寄与することも目標としています。
2015年4月現在、約3,000枚を超えるサリーの寄付が集まり、事業当初から参加しているジャフナの女性たちの技術も安定してきました。今後、新しく参加したムライティブの女性たちへも技術指導を進め、スリランカ国内での商品の市場を拡大して、プロジェクトの認知度を上げること、女性たちのさらなる収入向上を図ることが課題です。
(この事業はJICA草の根技術協力事業パートナー型の支援を受けて実施しています。)