PARCIC

ミャンマー緊急支援(2021年10月~2022年7月)

市民不服従運動に参加したために、職や収入を失った人びとへの生活支援を開始します。

2021年2月1日にミャンマー国軍は全土に非常事態宣言を発出し、政権を掌握しました。これに対して中心都市、ヤンゴンを初めとして各地で市民による抗議のデモが続き、軍がデモ参加者に銃口を向ける事態となりました。

3月3日、中部マンダレーで、治安部隊が抗議デモに参加した人びとに向かって銃を乱射し、参加者の一人チェーズィンさんは、逃げていく後ろから頭部を撃たれて命を失ったというニュースは広く国際社会に衝撃をもたらしました。彼女は一人の市民として黙ってはいられないとデモに参加した、わずか19歳の美容師でした。

10月13日現在、国軍・治安部隊の銃撃によって命を失った人の数は1,131人にのぼり、逮捕されて獄中にある人は7,240人に及んでいます。(*1)地方でも、国軍と少数民族武装勢力との戦闘が空爆を伴うなど拡大し、2021年10月現在、全国の国内避難民の総数は215,000人に上っています。近隣の村の人びとが食料などの支援を行っていますが、空襲の危険があるため収穫作業が行えず、厳しい食糧不足となっています。

4月16日、2020年の選挙によって国民から選ばれた連邦議会の代表委員会(CRPH)は、ミャンマー連邦共和国の合法的な政府として国民統一政府(National Unity Government of Myanmar=NUG)を樹立しました。内閣には2020年の総選挙で選出された議員や少数民族グループの代表が含まれ、拘束中であるアウンサンスーチー国家顧問とウィンミン大統領の役職は据え置かれています。

10月7日に行われた欧州議会は、①軍評議会が2020年の総選挙の結果を尊重し、政権を文民政府に委譲することを求め、②アウンサンスーチー国家顧問、ウィンミン大統領などすべての拘束者を即時釈放すること、③民主化勢力により樹立した国民統一政府(NUG)と連邦議会代表委員会(CRPH)を国の代表として公式に受け入れることを含む決議を可決しました。

政情不安が続いたうえに2021年7月には新型コロナウィルスの新規感染者が5,000人を超える日も続き(そのなかには国内避難民の感染者は含まれていない)、経済的な苦境も広がっています。通貨チャットはクーデター前まで1ドル=1,300チャット前後だったのが、3,000チャットと暴落し、物価は高騰し、最大都市ヤンゴンでも失業者が続出しています 。(*2)

パルシックは2月のクーデター以降、アジアの隣人であるミャンマーでつらい思いをしている人びとのために何ができるか、現地の団体や専門家との相談を重ねてきました。そして、今の緊急事態のなかでまず必要なこととして、ヤンゴンで、市民不服従運動に参加したために職や収入を失った女性たちの生活支援を開始することにしました。

SNSなどを通じてミャンマー全土で、市民不服従運動(Civil Disobedience Movement=CDM)が広がり、医師、看護師、教員、研究者、公務員などが市民に銃を向ける軍事政権への協力を拒んだのです。不服従運動に参加し、職も収入も失った人々がミャンマー全土で40万人以上にのぼります。クーデター以前は平均して150ドルくらいの月収を得ていた人びとが収入を失いながら、それぞれの専門性を生かして必要な活動を続けています。欧米や国連機関も支援を開始していますがまだまだ足りません。

パルシックは広く日本の市民からのご寄付を集めて、1世帯ごとに月額30ドル(4人家族がおよそ10日間の食糧を得ることができる金額)の支援を開始します。

今後、状況の変化に伴って支援の分野を生計支援、さらに都市部以外の地方へと広げていきたいと考えています。

*1 The Assistance Association for Political Prisoners (Burma)
*2 朝日新聞10月14日朝刊

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