東ティモールは、5歳未満の子どものおよそ50%が栄養阻害の状態にあります。特に山間部農村地域はその割合が高く、パルシックは、2019年から「ふりかけ普及と食生活改善による栄養改善事業」を実施してきました。
漁業が盛んなディリ県アタウロ島において地域で獲れる干し魚やモリンガを使った「ふりかけ」を生産し、ディリ県、およびエルメラ県の学校給食に導入すると同時に、学校給食調理担当者へ栄養知識や地元食材を上手に使った献立の考え方などを紹介する料理教室を開催し、子どもたちの栄養改善に取り組みました。
その過程で分かったのは、料理教室に参加した女性が新しい知識や経験を得ることを楽しみ、前向きに取り組む一方、家庭での日常の食生活に栄養知識を反映させるためには、女性たち自身が自由に使うことのできる収入をもつことが不可欠であることです。
東ティモールは、独立後の国づくりにおいてジェンダー・クォータ制が導入されるなど女性への機会均等が制度面で重点化された一方、家庭内での女性の地位は依然として低く、家計は男性が握っています。男性は収入があると自分の好きなことに使ってしまう傾向があり、なかなか家庭の食生活の改善にまで至りません。
そこで、アイレウ県、アイナロ県およびエルメラ県のディリ近郊山間部で、女性が取り組みやすい切り花栽培を通じて自由に使えるお金を得られるようにし、同時に身近な食材から摂取可能な栄養知識を学び、活動から得た収入を家庭での栄養改善に繋げる取り組みを始めます。
この事業は外務省NGO連携無償資金協力の助成で実施します。