2020年8月4日、レバノンの首都ベイルート港で発生した大規模爆発により、212名が亡くなり、約6千人が怪我をしました。爆発の規模は非常に大きく、約7万7千戸の住宅が何らかの被害を受け、住まいを失った人びとは親戚の家に一時的に避難をするなど、何とか生活を続けています。
ベイルートは、かつて「中東のパリ」と称され、中東のビジネス・金融の中心として栄えていました。しかし、1975年から15年続いた内戦により経済は壊滅。内戦終了後に経済復興が進められる中、2011年に発生したシリア危機の影響を受け、経済成長は停滞していました。
2019年10月以降は、政府の無策と腐敗を批判する市民による抗議活動の結果、当時の首相を辞任に追い込みました。しかし、深刻な財政危機は続き、2020年3月にレバノンは初めて債務不履行(デフォルト)を宣言。為替レートは暴落し、国内で必要なものの80%を輸入に頼る経済構造の中で、物価は3~5倍に上昇しました。さらに、新型コロナウィルスの感染対策の一環で実施されていたロックダウン(外出規制)により、日雇いの仕事を失うなど、経済的困窮者が増える中、大規模爆発が発生しました。
爆発地点から近い住宅や商店は大きな被害を受け、少なくとも7万人が職を失ったと推計されています。爆発直後の混乱の中、感染対策が困難となったことから新型コロナウィルスの感染者は増え続け、医療崩壊寸前の状況が続いています。
パルシックは、爆発発生直後から寄付を呼びかけ緊急の食糧と衛生用品の配布を行いました。今後も現地のニーズを見ながら、支援が必要な人びとに必要な支援を続けていきます。