2018年12月20日、日本NGO連携無償資金協力(外務省)贈与(通称「N連」)契約に南博在東ティモール日本大使とパルシックとで署名しました。東ティモールではN連の契約において署名式をおこなうことが習慣となっており、今回は初めて大使公邸を会場として使わせていただけるということで、教育省政策・計画・調整総局長、保健省政策・調整局長、ディリ県教育局長、エルメラ県知事、アタウロ漁業協同組合(BIATA)をはじめとする関係者やメディアが多く参加してくださいました。ふりかけを試食するスペースなども設けアットホームな式となり、パルシック東ティモール事務所として初の保健関連事業の開始に勢いがつきました。
新規事業は、2019年1月から3か年計画で、「ふりかけ」普及と食生活改善による栄養改善事業という、とてもチャレンジングな事業です。
東ティモールでは、5歳未満の子どもの半分が発育不良にあり、栄養改善への取り組みが急務ですが、栄養知識の普及が実際の食生活改善に生かされていないのが現状です。栄養知識を無理なく実践につなげるためには、食文化・習慣をよく理解した上で東ティモール人がおいしい、また食べたいと感じる献立をつくること、また、地元で採取できる食材を活用して経済的な負担をかけない形で日頃の食生活に取り入れていくための工夫をする必要があります。さらに、ただ栄養をとろう、バランスよく食べよう、というだけではなく、食事次第で病気を予防することもできるということも含めて伝えていく必要があります。
東ティモールは島国にも関わらず、魚の年間消費量が1人当たり平均2.7キログラムと世界平均の18キログラムと比べても極端に少ない国です。国内流通網及びコールドチェーンの未発達によって、山間部への鮮魚の流通はほとんど無く、インドネシア産干魚が市場で売られていたり、物好きな農家が自給のために淡水魚を養殖したりしています。
国内での水産物加工は大量生産でなければコストに見合わないため、漁業が盛んなディリ県アタウロ島において「ふりかけ」製造を開始し、漁村女性の収入に繋げていきます。また、「ふりかけ」をディリ県、エルメラ県の小中学校の給食に導入し、平行して対象地域において栄養教育を行い、栄養価の高い地元食材を日々の食生活に取り入れることで栄養改善に結び付けていきます。
初年度の2019年度は以下のことに取り組みます。
さらに、2年次からはディリ県、エルメラ県小中学校の給食での「ふりかけ」の導入およびディリ市場での販売、小学校と連携して栄養ワークショップを実施していきます。
(東ティモール事務所 林 知美)