PARCIC

コーヒー畑改善事業

5か年計画ももうすぐ折り返し!コーヒー畑改善事業のご報告 [前編]

みなさん、Botardi(こんにちは)!
昨年の春から東ティモール事業を担当している東京事務所の小栗です。
先日、出張で初めて東ティモールに渡航し、アイナロ県マウベシ郡のコーヒー産地を訪問しました。
今回は、出張報告として現在実施中のコーヒー畑改善事業のこれまでの活動についてお届けします!

パルシックは、2002年から活動を共にしてきたマウベシコーヒー生産者協同組合(COCAMAU=コカマウ)のコーヒー農家と、2019年11月にコーヒー畑改善事業を5カ年計画でスタートしました。早いものでこの事業ももうすぐ折り返し地点を迎えようとしています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、県をまたぐ移動に制限がかかり人や資材の行き来ができなくなったり、専門家を派遣できなかったりと、計画通りに進まないことも多々ありましたが、今回の出張では現地での取り組みをつぶさに確認し、これまでの活動をふり返るいい機会となりました。

何でコーヒー畑を改善するの?

コーヒーの木の収穫のピークは15年〜20年と言われていますが、東ティモールのコーヒーの木のほとんどは樹齢30年を超えて老朽化が進んでいます。そのため、近隣のコーヒー生産地と比べても収穫量が5分の1と少なく、気候変動の影響により収穫量が年々不安定になっています。

節に2~3個の実しかならない老朽化した木

収穫量が減ることは、つまりコーヒー農家の収入が減ることを意味します。そうなると、若い世代はより良い収入を求めて首都や国外に出ていき、コーヒー生産の担い手がいなくなってしまいます。

若者たちが誇りを持ってコーヒー作りを続けられるように、古くなったコーヒーの木を若返らせ収量を増やすコーヒー畑改善事業がスタートしました!

畑の改善って何をするの?

古くなったコーヒーの木を若返らせるには、大まかに①台切り、②新しい木に植え替える、の2つの方法があります。

①台切り

古くなったコーヒーの木の幹を切ると、切り口の近くから新しい芽がたくさん生えてきます。

台切りをした木の切り口付近から新しい芽が育っています!

新しく生えてくる芽を選別して2本だけ残し、育てていくと、3年ほどでコーヒーの赤い実(チェリー)を収穫出来るようになります。コーヒーの根はそのままですが木は若返り、収量が上がるという仕組みです。

②新しい木に植え替える

台切りをしても若返りが見込めない木(例えば、根が古すぎて新しい芽が出ない場合)、あるいは使っていない土地がある場合は、新しいコーヒーの苗を植えて育てます。 良好なチェリーから種子を取り、苗床に撒いて発芽したらポリバッグに移し、一年かけてコーヒー苗を育てます。植え替えた後は2年ほどでチェリーを収穫できるようになります。

畑の近くに、木の枠組みとネットを組み合わせて苗床を作ります

コーヒーの種子から芽が出てきました!

小さなポリバッグにコーヒーの苗をひとつずつ移している様子。これから1年後に成長した苗を畑に植え替えます

そして、台切りあるいは新しい苗を植え替えて3年後のコーヒーの木にはこのように、たくさんの実がなるように!

節ごとにモリモリと10個以上の実がなっています!こんなに違うものかと感動しました

リティマ集落のアルビノ・ソアレス・トマスさんも誇らしげ!コーヒー畑の改善事業では、「フィールドオフィサーが定期的にモニタリングに来てくれて、積極的に関わってくれるので嬉しい」と言っていました

それぞれのコーヒー畑は、畑の状態も広さも違うため、各農家と相談しながら、台切りをするか、新しく植え替えるか、それぞれの希望する方法で老朽化した木の若返りを行っています。

これだけだと、畑の改善じゃないと思われるかもしれませんが、木の若返り以外にも収量を上げるための活動をしています!それらについては、[後編]でご紹介します!

「5か年計画ももうすぐ折り返し!コーヒー畑改善事業のご報告 [後編]」へ

(東京事務所 小栗清香)
※この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。

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