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シリア国内避難民・帰還民の生活支援事業

シリア農業支援ご報告―小麦・野菜が育っています!

こんにちは!前回の記事では、2022年度の農業支援事業の2022年夏の収穫状況をお伝えしましたが、その後2022年10月から新たにホムス県で農業・食品加工・養鶏事業を開始しました。今回はその新しい食糧生産支援事業の報告です。

シリアの食糧・農業の状況

シリアの食糧・農業を取り巻くそもそもの状況に関しては、過去の記事に記載した通りです(『シリア国内での食糧生産活動を開始しました』、『シリア国内での女性に対する食糧生産活動支援』)が、以下に簡単にアップデートしてみます。

最近のシリア関連の話題

さらに2022年秋以降のシリア関連ニュースを見ていきましょう。紛争とそれに続く制裁が続いてシリア国内に住む7割の人びとが食糧支援を必要としているなか、レバノンやトルコといったシリア難民を多く受け入れている周辺国が、自国にいる難民をシリアに帰還させようとする圧力が高まっている状況が見えてきます。

*1 UNHCR “2023 Humanitarian Needs Overview: Syrian Arab Republic” Dec 2022
*2 IMF warns Lebanon at ‘very dangerous moment’ (zawya.com)
*3 Safe Return and Voluntary Repatriation for Syrian Refugees from Lebanon: What Needs to Happen Next? – Lebanon | ReliefWeb

*4 https://english.almayadeen.net/news/politics/defense-ministers-from-russia-syria-turkey-to-meet-in-coming
*5 Türkiye-Syria Earthquake Response | United Nations
*6 Lebanon Steps Up Forceful Removals of Syrian Refugees – Lebanon | ReliefWeb
*7 Arab League brings Syria back into its fold after 12 years | Arab League News | Al Jazeera
*8 hno_2022_rev-1.15.pdf (humanitarianresponse.info) *9 Turkey’s Erdogan celebrates presidential election run-off win | Elections News | Al Jazeera
*10 In first for Turkey, National Security Council addresses Syrian refugee return – Al-Monitor: Independent, trusted coverage of the Middle East

パルシックの農業支援

このように、経済が疲弊し、既に食糧が不足している、そこに仮に国外のシリア人のシリアへの帰還が進めば(もちろん、いくら滞在先の国の国家権力や人びとに「国に帰れ」と言われ、または嫌な思いをさせられたとしても、戻った先の国で身の安全が確保されている等の確証がなければ帰還することは困難です)、さらに食糧のニーズが高まることが予想されます。このことから、シリアの人びとがふたたび自立的に食糧を生産できるようになるための支援が、まさに今必要とされているのです。

この事業では、小麦・野菜農家やオリーブ農家の支援と、乳製品などの食品加工や養鶏の支援をホムス県の村々で行っています。今回は、小麦・野菜農家支援について写真とともにご報告します。

このままうまくいけば、小麦の収穫は6月後半、本格的な野菜の収穫は7月以降を予定しています。その様子はまたの機会にお伝えしますので、皆さまお楽しみに!

(レバノン事務所 風間)

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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