スラウェシ島からこんにちは。
8月中旬にアップした現地レポートでは震災後早くも半年以上が経ったと書いたばかりでしたが、昨年9月28日に起こった地震・津波・液状化被害から早いもので1年が経ちました。
今回は7月11日にパルシック東京事務所で行った報告会でお見せした写真を一部ご紹介して、スラウェシの被災地がどういう状況にあるのかお伝えしたいと思います。
スラウェシでの震災の特徴は大規模な液状化現象によるものだと思っており、震災後1か月経って現地入りした時のレポートもご参照頂きたいのですが、初めて被災地を訪れた時には言葉に表せないぐらい信じられない光景でした。
↓ 昨年10月下旬のパル市ペトボ地区の様子
↓ 今年7月上旬の様子。建物などは残ったままですが、車などは撤去されています。
↓ 1年前はベッドのマットレスや家具などむき出しで悲惨な光景でした。
↓ ここは記念公園(?)になる予定らしく、整地作業が行われ、今では単なる広い空き地のように思える光景に変容していました。
↓ この光景が印象的でした。整地された被災地で草木が生え、放牧された牛が草を食べていて、自然の逞しさを感じ、何が起きても時間は過ぎていくものだと感慨深い光景でした。
液状化現象で被害を受けた地域はいくつかあるのですが、パル市バラロア地区も1年前と今を見比べてみましょう。
↓バラロア地区の1年前もリアルを超えた光景でした。ここでは震災時火事が発生したのがわかり2次被害もあったのではと想像します。
↓ 震災から1年経った光景ですが、ペトボ地区とは対照的です。記念公園の建設予定地にはならなかったからなのか、未だにがれき等が残されたままで、まるで時が止まったような感覚になります。
津波被害に遭った沿岸部は、震災後住宅建設の制限区域の対象となり建設物の再建が禁止されているため、震災直後から風景はほとんど変わっていません。
↓ 昨年10月の沿岸部の様子
↓ 今年7月の沿岸部の様子。水溜まりは雨が降ってできたのではなく、地震によって地盤沈下が起き、満潮時に海水が沿岸部に浸水してできるようになったのだそうです。
被災したところばかりをご紹介しましたが、パル市にあるパルシックの事務所周辺は、甚大な震災があったとは思えないぐらい平和な光景です。これも今まで見てきた被災地とは対照的であり、スラウェシ地震・津波災害の特徴でもあるように思います。
震災から1年が経ち、変化したところもあれば、1年前の姿を残したままのところもあり、スラウェシが復興するには、まだまだ時間がかかるように思います。
(スラウェシ事務所 飯田彰)
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