PARCIC

スタディーツアー

東ティモール コーヒー生産者を訪ねる旅 2013 参加報告

美味しいコーヒーを求めて

2013年7月29日~8月5日 美味しいコーヒーに出会う旅 東ティモール

2013年7月29日、美味しいコーヒーができるという農園を訪ねる為、東ティモールへ旅に出た。東ティモールは例年になく雨が多いらしい。ディリに到着した2日前まで雨が続いていたという。市場の足元はそのことを証明するようにぬかるんでいた。しかし私たちは運が良かった。

7月30日 晴れ

パルシック事務所のある中間地点、マウベシの夜は南十字星や他の星たちが大歓迎してくれているような星降る夜となったのです。すばらしい宇宙の花火を眺め、ゆっくりとした時間が流れ、思い出を作ってくれる。明日会えるコーヒーを夢見ながら。

8月1日

心待ちにしていたコーヒー集落へ。当初マネトゥ村ハヒタリ集落を訪ねる予定であったが、雨で不通となり、急遽マウラウ村ハトゥカデ集落に向かった。ハトゥカデはハヒタリよりは北東の方向にある64世帯の村である。道路は整備されておらず私たちを気遣うドライバーのテクニックがすばらしい。最後の峠を越えるとハトゥカデが見えてきた。

女の子と赤ちゃん

村人が集まって歓迎式典が催され、カラフルなタイス織りを村の娘さんから首にかけてもらい、大歓迎でした。子どもたちが物珍しそうに色々な物の陰からのぞいている。人懐こい子どもたちだ。子どもが多いので、お姉ちゃんが弟や妹をよく見ている。その夜はダンスパーティーで楽しんだ。

8月2日 晴れ

今日はコーヒーチェリーの収穫作業。木は急な斜面に自生している。木麻黄(もくまおう)を中心としたシェードツリーでジャングルのようであった。高い枝は弓なりに引いて完熟した豆を選びながら手積みで腰の籠に入れた。みんなで集めたチェリーをポリバケツに入れ、水洗い。浮いた豆は取り除き、その後ポリバケツの水ごと果肉を取り除く機械へ。もちろん主導。ヌメリのついたままパーチメントが出てくる。村や温度によってそのままか、水につけた状態で発酵(24時間)。この時間は気象条件や量にもよるが、少し短い気がする。そして水洗い。天候により約2週間の天日乾燥。その間、家族でハンドピックを繰り返す。それからうすでパーチメントを取り除く。ここまでの行程は日本では見られない光景だ。

天日干し作業中、ハンドピックをする

その豆をいざ焙煎だ。

大きなフライパンで直火焙煎

女性の仕事らしい。私の焙煎歴は34年だ。彼女たちの焙煎技術に興味津々、見せてもらうことにした。大きめのフライパンでかなり深く焙煎する。火元は蒔で直火である。豆は2kgくらいだと思う。強火の直火のため、レードル(おたま)ですばやく攪拌するが、鉄板に触れるところが早く焦げる。見るとまだらに焼けている。しかしここからが彼女たちベテランの焙煎技術の見せどころだ。さっとフライパンを横へ滑らし(その下に火はない)余裕で焙煎具合をそろえること2分。見事なフレンチローストの完成である。煙の立ち込める中、ザルにさっと移す。ザルを手にした彼女は表へ飛び出し、風で冷ます。そしてまだ完全に冷えないうちに先ほどパーチメントをついたうすで豆を挽く、いや、つぶすのである。こんなうすでコーヒーが挽けるのか?またまた彼女たちのテクニックに驚かされる。潰した豆をザルに取り出し、斜めに揺すって豆のメッシュを分け、目の粗い豆はもう一度うすへ返す。何回も何回も繰り返し、Ditingのミルの1~2のメッシュに揃えるすばらしいテクニックを拝見した。

焙煎した豆を屋外で冷やす

さて、最後は抽出だ。大きな鍋に先ほど挽いた豆と水を入れて沸かす。そしてすばやく持ち手のあるカップですくい出し、緑色の茶こしを通してポットに流し落とす。

コーヒーの収穫から抽出まで瞬間を大切にする「コーヒーは瞬間の美学」の完結である。コーヒーカップの底には微粉がトロッと残る。日本ならアウトである。しかし一口飲んで驚いた。美味しい。胃にも優しい。新鮮とはこのことか、不思議なコーヒー。

 

話は少し変わりますが、焙煎していた部屋はすごい煙。効率の悪い火の使い方。彼女たちの健康を守るため、パルシックのロケットストーブが効率よく働いていた。

このようなコーヒーに出会えたこと、パルシックの皆さまや参加したメンバー、村の人々、そしてダンスのうまい少年。そしてコーヒーに感謝。
Obrigadu!!!

(2013年度 東ティモールスタディーツアー参加者 堀久雄さん)