PARCIC

サリー・リサイクル事業

サリー女性とコロンボ訪問

サリー事業をムライティブ県に拡大してから1年が経ちました。現在、約70人の女性が、ジャフナ、ムライティブの両県から縫製に参加しています。4月、その女性たちの中でも特に積極的に活動している18人のメンバーが、コロンボを訪問しました。訪問の目的は、コロンボの外国人向け店舗を訪ね、そこで売られている商品の品質や色使いを知ること。老舗土産物店「Barefoot」と、コロンボの中でも特に高級なセレクトショップ「PR」を訪ねました。「Barefoot」の支店、ゴール店では、2年ほど前から既にサリー事業で作っているバッグが販売されています。

 

コロンボのお土産屋さんの定番「Barefoot」

コロンボのお土産屋さんの定番「Barefoot」

 

お店を訪ねる前は、普段北部で彼女たちが見ている店や商品の雰囲気とコロンボ中心部のそれが違いすぎて、皆おじけづいてしまうのではないかと案じましたが、その予想とは裏腹に、女性たちは店に並ぶ商品に興味津々。変わったデザインのドレスやカラフルな雑貨、ジャフナやムライティブでは見かけないおしゃれなパッケージの紅茶や化粧品を手に取り、口々に感想を言い合い、とても盛り上がりました。特に衣類は、自分たちの縫製にも新しいアイディアを取り入れられるのではないかと、細部の縫製や裏地まで細かくチェック。商品のデザインや色使いも気に入って、Barefootを訪ねた後、皆でお互いの服装を見て、「今日の彼女の服の色はBarefootっぽい!」などと楽しそうに笑い合っていたのが印象的でした。

 

「PR」で商品の説明を聞く女性たち

「PR」で商品の説明を聞く女性たち

 

訪問した2つの店舗のスタッフの方々も、とても丁寧に商品の背景や客層、お客さんが求めるものなどについて説明してくださり、コロンボで売られている商品の品質を学ぶという目的も達成されました。どちらのスタッフも口を揃え、「女性たちが直接コロンボの市場を見ることは彼女たちの自立支援にもつながる。村にいたのでは思い付かないような新しいものに触れて、こんなものが売れるんだ、と、新たな収入源となるアイディアが生まれれば」と期待を寄せてくださいました。ムリワイカイ村のプシュパラタさんは、「コロンボの店で実際に売られている商品を見て、自分たちのサリー商品との縫製の精度の違いを実感した。村の他のメンバーにも見たことを伝えたい。縫製の技術を改善して、もっと高い値段で私たちの商品も売れるようにしたい」と新しい目標に前向きです。

 

作った商品を確認するプシュパラタさん

作った商品を確認するプシュパラタさん

 

店舗を訪ねたあとは、サリー事業のブランド、Sari Connectionがブースを出している毎週土曜日のイベント「Good Market」にも寄りました。外にいるだけで汗がふきでるような炎天下で、外で行われているマーケットにゆっくり滞在することができなかったことが残念でしたが、ちょうど私たちがブースに到着した時に、お買い物をしてくださっているお客さんもおり、お客さんからのコメントを直接聞けたことも女性たちにとっての励みになりました。

 

グッドマーケットで記念撮影

グッドマーケットで記念撮影

 

お店を回った後は、お楽しみのコロンボで一番大きな卸売り問屋街ペターを訪ねました。縫製材料の他、洋服、子どもたちへのお土産など、皆見たいものがたくさんありすぎて時間が足りず、途中人混みの中で迷子になるグループも出るなどのハプニングもありましたが、ショッピングも無事に済み、1日の行程を終えることができました。参加した女性たちの多くは以前にもコロンボに来たことがあったものの、外国人向けのお店に行くのは今回が初めてでした。感想の中でも、訪問で一番よかったのはそれらのお店に行かれたことだ、という声が多く、スタッフも含めて22人という大所帯の今回の旅でしたが、企画が成功したことにスタッフも安堵しました。色使いの違いや品質を体感し習得することは容易なことではありませんが、これからも品質向上に力を入れ、そのための工夫を凝らしていきたいと考えています。

(スリランカ事務所 伊藤 文)