PARCIC

山間部農村の水利改善事業

着任3日目 マウベシの水利改善事業の現場を訪問

東ティモールに新しく赴任しました大島です。赴任して3日目、これから通うことになるテトゥン語のクラスが始まる前に、一足早くマウベシ郡の水利改善事業の現場に行ってきました。

東ティモールの山間部農村では、農業用水と生活用水が整備されていません。パルシックはそのため、東ティモールの地元住民と協力して、アイナロ県マウベシ郡の水供給システムの構築を目指しています。私が今回訪れたのは、3か年を予定している事業の2年目、アイトゥトゥ村アイホウ集落の、上水道設置の現場になります。

私が訪れた日は、水源の湧水から引いた水を最初に貯める第1貯水槽を造成中でした。貯水槽は10立方メートルで、完成すると10トンの水を貯めることができます。この貯水槽は最初の分岐点となっていて、ここから3方向にパイプが延びて、低地にある集落、49世帯258人に生活用水を供給する予定です。

10立方メートルの貯水槽

10立方メートルの貯水槽

パルシックからは東ティモール人スタッフが4名、地元住民と合わせると12名ほどで作業をしていました。作業にあたっていたのは皆、たくましい成人男性ですが、その横を2人の小さな女の子がよたよたと、一輪車を使ってセメントに混ぜる砂を運んでいました。一度に運んでいたのはほんのひとすくいですが、それでも立派なお手伝いです。

コンクリート壁内部の鉄筋打ちは終了し、本日はその周りに、コンクリートを流し込むためのパネルを設置します。今回コンクリを打つのは床面と側面の厚さ20cmの壁部分。パネルはベニヤ板で作られていて、表面につるつるとした黒い塗料が塗られています。この塗料のおかげで乾燥後、コンクリートから剥離しやすいようになっているそうです。

パネルは内側と外側の両方から、木を組んでしっかりと固定します。固定する木材は角材ではなく、外皮をはいだ黒ユーカリの丸太、というか太い枝で、長さと太さが一定ではありません。そのため安定するよう組み合わせを考えながら組んでいきます。この固定材は、パネルを固定すると同時に、上からセメントを流し込む際の、足場の役割も果たします。

内側からもしっかりとパネルを固定

内側からもしっかりとパネルを固定

パネルを設置すると、明日行うコンクリ打ちに備えて、コンクリートミキサーを移動させました。ミキサーは見るからに重量があり、また昨   晩降った雨で、車輪が地面になかば埋まっている状態でした。全員で押したり引いたりして、使いやすいポジションまで動かします。ミキサーが動くたびに、群生しているミントが引き抜かれ、あたりにはさわやかな香りが漂いました。

コンクリートミキサーを皆で移動させる

コンクリートミキサーを皆で移動させる

明日の作業のためミキサーとトレイを設置

明日の作業のためミキサーとトレイを設置

コンクリートミキサーの移動が終わり、混ぜ合わせたコンクリートを受けるトレイを設置して、作業は終了。最後は皆で、村の人がふるまってくれたトウモロコシと豆の煮物をいただきました。食べ終わった頃には、陽は西に傾き、涼しい風が吹いています。標高の高いアイホウ集落の夕暮れは寒いくらいです。明日はいよいよコンクリートを打ちます。

(マウベシ事務所 大島 大)

※この事業は、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

 

関連プロジェクト