東ティモールでは、石を3つ並べただけのかまどを使って日々の煮炊きを行っています。このかまどは隙間部分が大きいため、そこから火が逃げてしまい燃焼効率が悪いです。それに伴い、薪を燃やした時に出る煙が家の中に充満し、その煙を吸って呼吸器系疾患を患う人が後を絶ちません。毎日煮炊きをする女性はもちろん、小さい子供のいる家庭ではお母さんが子供を背負いながら調理するため、抵抗力の弱い子供にも影響を与えています。
活動地の家の造りは、竹や木の骨組みにヤシの葉や藁のような草を屋根に葺いています。雨風の影響もありますが、煙で熱せられることでも劣化が早まり、1~2年で交換しなければなりません。
家の中には、次の植え付けの為のトウモロコシの種が吊るして保存してあります。調理時に出た煙の熱で水分を飛ばしたり、燻って病害虫の発生を抑えているのではという昔ながらの知恵も、このかまどを利用する意味ではないかという考えもあります。
また、調理に使用する薪も十分に乾燥させていないものを使っていることが多く、そのため調理するために多くの時間を要します。東ティモールで「バタールダン(Batar daan)」というトウモロコシの粒を豆などと一緒に茹でる料理があります。これを家族10人分ほど作るのに、水を煮立てるとことから含めて3時間近く要します。
このような状況を改善するべく、私たちは薪の使用量を調査し、薪の効率的な利用方法の指導と、かまどの改良などに取り組みました。次回はその様子をお伝えしたいと思います。
(東ティモール事務所 宮田悠史)