梅雨が明け、とろけてしまいそうな暑さが続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
7月9日に【ウォレス線の向こう:東ティモールでミツバチに出会う】というテーマで、報告会を行いました。今回はその報告をしたいと思います。
現在パルシックは、昨年から東ティモールで開始した「山間部農民の生計向上事業」(外務省HP参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m/e_asia/easttimor/120621.html)において、アジアミツバチの養蜂に取り組んでいます。自然に作られた蜂蜜を採ることは昔から行われていますが、生業としての「養蜂」はまだ東ティモールで行われていません。比較的身近な所に多数生息しており、養蜂としての可能性が見出せたアジアミツバチを、現金収入源の限られた山間部に暮らす人々の新たな収入源として活用していきたいと考えています。
それに先駆け、今年の5月~6月にかけて約10日間、日本の養蜂家、御園孝さんと小野俊英さんのお二人を現地に招いて、東ティモールに生息するミツバチの生態調査を行いました。この報告会では、その際にお二人が東ティモールで見たミツバチの生態、蜂蜜の蜜源や餌(花粉)となる植物について、ビデオや写真を使ってご報告して頂きました。
東ティモールでは、2種類のミツバチから蜂蜜を採取しています。大きな木の枝につり下がるように巣を作る「オオミツバチ」と、岩の隙間や木の洞に巣を作る「アジアミツバチ」です。
アジアミツバチは、日本にも生息する「ニホンミツバチ」と同じトウヨウミツバチの種類に位置付けられるため、現地を訪れる前には生態的にも似たような部分が 多くあるのではと、お二人も考えていらっしゃったようです。しかし、東ティモールに行き実物を見てみると、ニホンミツバチよりも体が小さかったり、性格も かなりおとなしかったりと、色々な違いがあることが分かりました。
また、東ティモールはアジアミツバチの最南端生息地ではないかといわれており、その一つに、報告会のタイトルにもある「ウォレス線」が関係しているのではと思われます。
(ウォレス線についてはhttps://www.pteron-world.com/topics/world/wallecea.htmlをご参照ください)
これまで生業として利用されてこなかったため、ミツバチの生態や養蜂手段など、まだまだ不明な部分が数多くあります。今後も御園さん、小野さん、そして養蜂家の皆さまやミツバチに興味を持つ方など、様々なご協力を仰ぎながら東ティモールでの養蜂実現に向けて、歩んでいきたいです。記録を続けて、「東ティモール養蜂までの道のり」をまたご報告できればと思います。
(東ティモール事務所 宮田悠史)