東ティモールのマウベシ事務所でコーヒー事業のインターンをしています煙草です。東ティモールに来て早3ヶ月が経とうとしています。
当国に来て1ヶ月ほどは毎日お腹を壊していましたが、ようやくその腹痛も2週間に1度というペースに落ち着いたぐらい、生活にも慣れて来ました。
さまざまな方から「東ティモールの食事には慣れましたか?」と聞かれます。いつも私は「ここの料理はすごく好きです。」と答えます。すると大概驚かれます。というのも、東ティモール料理はお世辞にも豊かであるとはいえず、どの料理も大体味付けが同じで、メニューのバラエティも多くありません。日本食が世界一おいしいと思っている私にとって、料理自体に驚くほどおいしい思うことはありません。にもかかわらず、わたしがここでの食事を好んでいるのは“食材が新鮮で、なおかつ目に見える関係で生産者と消費者がつながっている”からなのです。マウベシには冷蔵庫もスーパーマーケットもないので、その日に必要な食材を必要な分だけ市場で買います。日本では、スーパーに行ってとりあえず安い野菜を買い込んで調理するということをしていましたが、マウベシでは消費者と生産者が直接つながり、農家の人から直接、新鮮な野菜を買うことができます。私が特に気に入っているのは朝食で、いつもパンにイチゴジャムをつけてコーヒーと一緒に食べています。パンは市場でその日の朝にパン売りの兄ちゃんからできたてのものを買い、ジャムはマウベシでの女性の加工品作り事業スタッフが手作りしたもので、一緒に飲むコーヒーも、私が毎日事業のため訪れるマウベシ郡の集落の人たちが作ったものなのです。
それは、私が関わっているコーヒー生産者支援事業にもいえることです。先にお話したように、私は日々マウベシ郡の集落を回り、コーヒー豆の品質と水分量のチェックをしています。その際、1日に多いときで3回ほどコーヒーを振舞ってもらうことがあります。これまで様々な場所でコーヒーを飲んできましたが、農家で飲むコーヒーに勝るものはありません。新鮮であることはもちろん、目の前にいる農家のお父さんが一生懸命作ったものだということが分かるからです。私が振舞われたコーヒーを飲んで「おいしい」というと、農家の人たちは決まってちょっと照れたように笑います。
コーヒーは、東ティモールのような赤道近くの国(コーヒーベルト一帯)で、なおかつ標高が高い山中で生産されています。私たちが普段日本で口にするものの中では、もっとも日本との距離が離れた場所でつくられる食品のひとつです。そのコーヒー生産者と直につながること、生産者の姿を想像することは非常に難しいことですが、フェアトレードを通して、日本の皆さんにマウベシのコーヒー農家の方たちを知ってもらい、またコーヒー農家の方にも日本でどのような人たちがコーヒーを買ってくれているかを伝えていきたいと思います。
(マウベシ事務所 煙草将央)