今年のマウベシでは例年より雨季が長く続き、6月後半になってやっと晴れの日が続くようになり本格的にコーヒーの収穫が始まりました。私もようやくコーヒーの収穫期をマウベシで過ごすことができているので、コーヒーの収穫とその後の農家での加工の様子をレポートします。
まずはコーヒーの実の収穫です。赤く熟したものだけを選んで摘んでいきます。 農家さんたちは歌ったりしながら慣れた手つきで素早く摘んでいきます。私も試してみましたが、簡単そうに見えてなかなかスムーズにはいかず少し苦戦しました。
次は加工です。
コーヒーを摘んだ後、農家さんのお宅でコーヒーチェリーの果肉を除去する1次加工が行われます。 コーヒーの加工法に関して、マウベシではウォッシュド(水洗式)、ナチュラル(乾燥式)、ハニープロセスの3種類の方法を用いています。 今回は以前から一番多くの農家さんが行っているウォッシュド(水洗式)の加工工程をご紹介します。
① 摘んだコーヒーチェリーを大きなバケツなどで水に漬けて比重選別をします。ここで浮いてしまうチェリーは中身が未熟な状態だったり、熟しすぎて乾いていたりしている状態なのでこの段階で取り除きます。
② 比重選別したコーヒーチェリーはハンドパルパーという機械を使って果肉を取っていきます。輸入された既製品を使っている農家さんもいますが、手作りのものを使っている農家さんも多いです。これはマウベシ製のハンドパルパーだぜ、とみんな自慢げに教えてくれます。果肉が剥けないチェリーもありますが、それは未熟でまだ果肉が固い状態ということです。ここでも完熟しているチェリーの中身だけが選別されていきます。この果肉を剥いた状態の固い殻のついた状態をパーチメントと呼びます。
③ 果肉を剥いたパーチメントの状態のコーヒーの実を大きなバケツに入れて24時間以上発酵させます。その後パーチメントに付着したぬめりが取れるまで繰り返し水洗いします。
④ 天日干しして乾燥させます。十分に乾燥させたら農家さんのお宅で行う1次加工が完了です。
加工したパーチメントはパルシックのスタッフがトラックで集落を訪問して水分量など品質を確認後、パーチメントを袋に詰めてマウベシの街にある倉庫に運び、最終的には首都ディリの2次加工場に運び込まれ、焙煎する手前の生豆の状態まで加工されます。
コーヒーチェリーを一つずつ丁寧に収穫しいくつもの工程を経ている様子を実際に見ることで、知識としてはわかっていましたが改めて一つ一つのコーヒー豆が手間暇かけて作られていることを実感できました。
(東ティモール事務所 工藤竜彦)
※この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。