PARCIC

ムライティブ県帰還民の生活再建支援

スリランカ北部スタディツアーの皆さんがご訪問

8月17日から23日、パルシック「スリランカ北部スタディツアー」参加者の9名の皆さんがムライティブ、ジャフナを訪問してくださいました。コロンボを出発して、世界遺産の街アヌラーダプラを経由し、ムライティブ、ジャフナと回りコロンボへ戻る7日間。パルシックの事業地のほか、ジャフナでは観光地として開発されつつある遺跡やビーチ、古くからの言い伝えを持つヒンドゥー寺院、泉を訪ねました。ジャフナタウンにあるジャフナ最大の寺院「ナルーテンプル」で開かれている1年に一度のお祭りにも参加。お祭り最終日近くの人々の熱気はものすごく、この寺院に祀られているムルガン神を乗せたお神輿が寺の周囲を回り、境内に戻る瞬間は、お神輿の周りに集まった人の波につぶされそうになるほどでした。

ナルーテンプルのお祭で出たムルガン神のお神輿

ナルーテンプルのお祭で出たムルガン神のお神輿

ムライティブでは、コクライ、ムリワイカイ2村の漁家を訪問しました。同じムライティブ県内にあっても、人々が受けた内戦の影響は一様ではありません。1980年代前半に全国的に広がった暴動の影響で家を追われ、ムライティブ県内、インド、そしてジャフナへと各地を転々としながら避難を繰り返し、2011年に村に戻ったコクライ村のご一家。その一方で、2009年まではムリワイカイ村の自宅周辺で暮らし、内戦末期に激しい戦場となったこの地域でお子さんとの離別を経験したご一家。それぞれに異なった経験を持ちながら、ムライティブの人々はこの地に戻り、時につらい過去と対峙しながら、新しい生活を始めています。

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ムライティブタウン近くのビーチで朝の漁に遭遇。船を引き揚げるのを手伝う

この他、パルシックが建設した2軒のコミュニティセンターも訪ね、コクライ村では、タミル人、シンハラ人の子供たちがともに英語や理科の課外授業に取り組む様子、コーヴィルクディルプ村では、漁協と女性組合から村のスポーツクラブへのユニフォーム贈呈式を見学しました。特に漁家へ訪問して村の方々のお話を直接伺ったことは、人々の現在の暮らしがよく分かり、普通の旅行では体験することのできない内容で良かった、と参加者の方々からもご意見をいただきました。

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コーヴィルクディルプ村での贈呈式後、サッカーチームとの記念撮影

ジャフナでも、パルシックが行っている乾燥魚事業の実施地を訪ね、実際に乾燥エビが作られる工程を見学、参加している女性たちのお話を聞く時間を持ちました。この事業は2010年に始まり、助成金を受けての3年間の事業期間は昨年終了しましたが、現在も乾燥エビの生産が続いており、地元住民やジャフナタウンのスーパーマーケット、コロンボの市場や日本人向け商店などとの取引が継続しています。元々食品加工の経験があった女性を中心に、村の女性たちが協力しながら生産を続けており、商品の質も向上していると評判です。

ジャフナ・ヴェラナイの乾燥エビ加工場

ジャフナ・ヴェラナイの乾燥エビ加工場。塩茹でしたてのエビを干すところ。

今回のツアーは、「タミルの文化に触れる」というテーマでもあったので、食事にもこだわり、北部の人々の食卓に上る家庭料理や、特別な時に用意する「ジャフナクール」という海鮮スープ、お菓子などを、日替わりで各事務所の食事担当スタッフ、漁家の皆さんが腕を振るって用意してくれました。スリランカでは、同じ米粉、小麦粉を主に使った主食にも、麺状のもの、筒状のもの、粒状のもの、パンケーキ状のもの、と、様々な種類があります。普段毎日ここで暮らしている私自身、こんなにバラエティに富んだ食事を短期間で摂ることはないと思うほどに毎食違うメニューで、少し豪華な気分になれた1週間でした。

朝食に出た「ストリングホッパー」。米粉と小麦粉を水でこね、絞って麺状にしたものを蒸して作ります

朝食に出た「ストリングホッパー」。米粉と小麦粉を水でこね、絞って麺状にしたものを蒸して作る

そしてジャフナでは、パルシックが現在開店準備中の「KAISゲストハウス」にも宿泊。開発が進むジャフナタウンの中で、伝統的な文化を残すことを目的に、今年初めから準備を始めたゲストハウスです。タウンの中心部から車で10分ほどの静かな住宅街の中にある1戸建ての家を改装しました。内装も完成し、後は宣伝を始めるだけ。9月末に正式にオープン予定です。コロンボからの直通列車も9月には開通する予定でおり、数年前と比べると格段に移動が便利になったジャフナ。KAISゲストハウスでも、皆さんのお越しをお待ちしています。

KAISゲストハウスの前庭。「KAI」はタミル語で「手」という意味で、人と人とが手を取り合って助け合い、つながり合うことを意図しています

KAISゲストハウスの前庭。「KAI」はタミル語で「手」という意味で、人と人とが手を取り合って助け合い、つながり合うことを意図している

2014年12月には、スリランカ南部の有機紅茶栽培事業地を訪ねる「デニヤヤ紅茶ツアー」も計画しています。

(ムライティブ事務所 伊藤文)