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ムライティブ県帰還民の生活再建支援

ムライティブ日誌#4 井戸水検査2 サンプル検査結果を待つ

前回「チューブ井戸」の穴を掘り、そこからサンプルを採取して井戸建設予定地の水の検査を行うことを書きました。穴を掘るまでは順調だったこの作業、その後、思わぬ時間をとられることになりました。

まず、水のサンプル採取に同行してもらうために、ムライティブ地域担当の公衆衛生管理士、PHI(Public Health Inspector)の日程を確保することにひと苦労。このPHI、担当分野は多岐に亘り、私たちが依頼した井戸水の検査に始まり、食品加工場の点検、店舗や食堂の衛生管理、デング熱感染予防対策など、地域の保健衛生に関すること全般を担当しています。ヒンドゥー寺院のお祭の季節と重なりその会場の点検に忙しかったり、県内の別の地域に出張していたり、と、来てもらえるまでに約3週間。さらに、集めた水のサンプルを持ち、検査を行う保健省の部署に行ってみると、300個に及ぶ水のサンプルがチェックを待っているが、たった1人の検査技師は1週間に一度しか来ない、とのこと。水を入れるための瓶を煮沸消毒し、サンプルを取る際には毎回慎重に石鹸で手を洗い、取ったサンプルは保冷箱に入れて3時間以内に持ち込む、と指示された通りに厳重に水サンプルを用意したものの、私たちのサンプルがいつ検査してもらえるかは分からない…、という何ともスリランカ的な回答が返ってきました。

水のサンプルを取るPHI

水のサンプルを取るPHI。サンプル採取の時にも、色やにおいを確認します

なるべく急いでほしい旨を伝え、約2週間半後、水質検査の結果を受け取ることができました。この検査で主に調査したのは水に含まれる大腸菌の有無。一部地域では、地質に含まれる化学物質に関しても調査をしてもらいました。結果を受け取ってからも、井戸建設事業が初めてだったパルシックのスタッフたちにとって、一つ一つの結果を解釈し、より良い状態の水が提供できるようにするためにはどうすればよいか、を判断することはなかなかの難題で、ここにも時間を要しました。この間、大学教授、各種政府機関、他のNGOや国連機関など、多くの方々から井戸水に関するたくさんの知識、アドバイスをいただき、その結果として慎重に水の安全性を判断できたこと、生活用水の提供に関する知識が増えたことはよかったと思っています。

水道局(National Water Supply & Drainage Board)ジャフナオフィス

今回の水質検査にあたってお世話になったスリランカ政府機関のひとつ、水道局(National Water Supply & Drainage Board)ジャフナオフィス。国内の給排水の管理全般を担っています

無事に水質検査を終え、いよいよ6月下旬から、掘削を開始しました。8月上旬現在で、10基の井戸が既に完成しており、8月末までに、新たに加えたムリワイカイ地域を含む、全18基の井戸を完成する予定です。

コクトルワイ村で掘り始めた井戸

コクトルワイ村で掘り始めた井戸。水が出たところで、簡単な儀式をしました

(ムライティブ事務所 伊藤文)