この3月をもって、スリランカ東部のムトゥールという町での、内戦により損壊した学校の修復事業が終了しました。
パルシックでは損壊の激しい学校を12校選定し、学校職員と保護者の会(SDS: School Development Society)を実施主体として、修復計画から資材の調達、工事までを支援してきました。
修復された教室を喜ぶ子どもたち
事業では机や椅子、トイレ、給水施設や簡易教室の製作・設置や校舎の修理をしました。
以前は椅子・机がないために子ども達は床でノートを取っていたり小さな長机にぎゅうぎゅうに座ったりして授業を受けていたのが、今は自分の机で落ち着いて勉強できるようになりました。
教室が不足していて木陰で授業を行っていた学校では、炎天下や雨など天気の心配をしないで済むようになりました。教室の傍に給水施設がないために毎日井戸の水を汲み、何往復もして教室近くのドラム缶に溜めておかなければいけなかった学校では、水道を引いたことで先生や生徒の苦労が減りました。他にも、穴だらけの教室の床や、壁のひび割れ・崩れを修理した学校では、特に先生たちから「やっと学校をきれいにできた、ありがとう」とお礼を言われます。
机の贈呈式
始めは見慣れぬ私を警戒と好奇心の混ざった目で見ていた子どもたちは、今では元気よく挨拶をしてくれるようになりました。
学校の全ての不足や問題を解決できたわけではありませんが、事業によって子どもたちや先生がより快適に学校生活を送っているのを見てこちらも嬉しく、安心しています。
不便な学校生活を送っている子どものために、現状を早く改善したいという切な思いはどの保護者も学校も一緒です。しかし一時は作業が予定より遅れていた学校もあり、3月までに終わるか私自身不安になったことがあります。
その理由は、全ての作業をSDSが中心となって行うという、SDSにとって不慣れな作業であったためと言えますが、他にも宗教の行事(事業の対象となったのはイスラム教とヒンドゥー教の地域で、それぞれ学校により独自のプログラムがあります)、2010年1月末に実施された大統領選挙に伴う地域の仕事など、あまりこちらが予想していなかった「休み」があったからです。
井戸を設置するSDSメンバー
でもそんな時はカウンターパートが活躍してくれました。カウンターパートのラフマンさんはこの村出身の教育省の学校教育のアドバイザーです。彼はこの地域や宗教の実情を考慮しながら、事業が円滑に進むように頻繁に学校側に連絡を取って的確に次にすべきことを促し、作業中に起こった問題など学校側からの相談にものる、とても頼れる存在です。
また私はラフマンさんの家にホームステイしていることもあって、SDSの役員や校長先生たちからお茶や食事に招いてもらうなど、学校外でも交流の時間があり、事業以外でも楽しい時間を過ごすことができました。
最近になって、新たにスリランカ政府や国内/外NGOの学校支援が始まっています。町全体では道路工事や水道工事なども進んでいます。この3月で学校修復事業は終了しますが、パルシックとしてのスリランカの復興に向けた取り組みは深化させていきたいと考えています。
(パルシック 松井愛珠)
*本事業は国際ボランティア貯金の助成を受けて実施しました。