政府軍による北東部制圧が最終段階に達しているスリランカですが、シンハラ人の友人からの手紙をご紹介します。この戦争のもうひとつの側面を憂うる気持に満ちたものです。
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今、私たちはスリランカで起こっていることを理解してくれる友人を切実に必要としています。スリランカ政府は、テロに対する戦争を遂行しています。2009年1月現在、政府はテロリスト支配地域を占領し、政府軍はLTTE(タミル・イーラム解放のトラ)のリーダーが潜伏している場所に近づいています。政府軍司令官は、間もなく北東部全域を占領しテロリストを永久に葬り去ると宣言しています。けれども戦争が終わった後どうなるのか、私たちには見当もつきません。政府は、LTTEの本部や主要機関が置かれていた町を奪取した直後から、南部の政府批判を行っている団体への攻撃を始めています。最初の攻撃は数日前、LTTE寄りの報道をしたとされたテレビ局に対して行われました。先日は、政府や政治指導者の腐敗を強く非難していた主要ジャーナリストのひとりが、武装した暴漢によって殺害されました。今や、政府に反対する国民に対して戦争が行われているのです。なぜなら、国民の大多数は反テロ戦争に勝利したことを喜んでおり、LTTEを支持していると特定・分類された個人もしくは団体を破壊することが愛国的な行為と見なされているからです。
こうしている間にも、スリランカ経済は日々下降し続けています。外国の銀行や金融機関への負債は莫大な金額にのぼります。信じられないくらいの巨額になっています。このような状況を伝える短い記事を以下にご紹介します。
タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)が間もなく敗北し、民族紛争は終結するであろうというのは、希望的観測である。歴代のスリランカ政府は、1950年代に始まった民族紛争の根本的な原因に取り組んでこなかった。そして、タミル人に十分な自治権を認めることに関心を示してこなかったのである。現政府の行っていることは、戦争を利用して政権を維持すること、兵器売買によって金儲けをすることである。大統領とその兄弟はまた、戦争を口実に利用してあらゆる反対勢力の口封じをしている。以下に、その事実をいくつか示す。
スリランカにおける民主主義は単なる見せかけだけであり、この国は現在、世界でも五指に数えられる独裁国家になろうとしている。スリランカがブラックホールの奥深くに落ちてしまう前に、今こそ国民が目を覚まし、行動すべきである!
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*この手紙は2009年1月9日に、パルシック代表理事の井上礼子宛に送られたものを翻訳したものです。送信者の名前は秘しています。