PARCIC

南部 洪水被災者支援

紅茶の生産地、スリランカ南部の茶畑への被害状況

アーユーボワン(シンハラ語で「こんにちは」の意味)!

今回の洪水、土砂崩れで被害を受けたスリランカ南部は、スリランカの紅茶生産の70%近くを担う紅茶の生産地です。この生産地で作られる紅茶は「ルフナ茶」と呼ばれ、スリランカの5大紅茶産地(他は、ヌワラエリヤ、ウバ、キャンディ、ディンブラ)の1つになっています。

政府は、今回の土砂崩れなどで合計約6,030ヘクタール(東京ドーム約1,290個分!)の紅茶畑が被害にあったとしています。実際に、マータラ県の南端からマータラ県の北端に位置するデニヤヤに向かう途中、道路の両脇に広がる茶畑の中で起きた土砂崩れの様子をたくさん目にします。今回のみならず、2014年にはウバ茶の生産地バドゥッラ県で、大規模紅茶プランテーションで豪雨による大きな土砂崩れが起こり、200名以上が亡くなっています(行方不明含む)。19世紀から茶の単一栽培に使われてきた土地は疲弊が進み、脆くなっていることが原因の1つです。

一方、パルシックが支援している小規模有機紅茶栽培農家グループのエクサのメンバーの有機紅茶畑はほとんど被害を受けませんでした。急な斜面に畑を持っている農家も多いのですが、圃場の周りにきちんと水はけできるように溝を作って管理していること、有機農業によって土壌の質が向上し、特に保水力が高まったことによって大きな被害が防げたとメンバーは教えてくれました。また、有機の圃場は周囲の有機栽培ではない圃場からの農薬や化学肥料を含んだ水による汚染を最小限にするため、斜面のより高いところに作っていますので、周辺圃場から水が大量に流れてくることもありませんでした。

家の裏の山にあった茶畑がズルッと滑り落ちてきて、家が土砂で埋まってしまった家。住んでいた人たちは土砂が崩れる前に避難できたため、無事でした。現在は近くの茶園のマネージャーが泊まるところに避難していますが(無償で茶園が貸してくれています)、今後の見通しはまだはっきりしていません。

裏山の茶畑がズルッと滑り落ちてきて、家が土砂で埋まってしまった家。住んでいた人たちは土砂が崩れる前に避難できたため、無事でした。現在は近くの茶園のマネージャーが泊まるところに避難していますが(無償で茶園が貸してくれています)、今後の見通しはまだはっきりしていません。

工場のすぐ横の慣例農法(化学肥料や農薬を使った農法)の茶畑の土砂が崩れてしまったデニヤヤにある紅茶加工工場。工場の建っている場所も地盤が脆弱になり操業は停止中です。

工場のすぐ横の慣例農法(化学肥料や農薬を使った農法)の茶畑の土砂が崩れてしまったデニヤヤにある紅茶加工工場。工場の建っている場所も地盤が脆弱になり操業は停止中です。

(スリランカ事務所 高橋 知里)

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