PARCIC

デニヤヤ小規模紅茶農家支援

紅茶便り#16 パッレガマでの有機紅茶プロジェクトの活動開始

アーユーボワン! デニヤヤでは今年から有機紅茶プロジェクトの実施地域を少し広げました。今まではキリウェラガマ、キリウェラドラ、バタヤヤの3村で実施してきましたが、昨年から3村から少し離れたパッレガマ村の有機転換に興味を持った紅茶農家からの声があり、何度も地域の農家に対して説明会を重ね、4月から22世帯の参加者が有機転換を始めました(まだ他にも興味を示している農家がいますので、徐々に増やしていきます)。

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パッレガマの村の集会場での説明会の様子

このパッレガマ村から最初に声をあげてくれたのがアーリヤセーナさんです。彼は2年以上前から牛を自分で購入しコンポストを作ったり、緑肥を活用して有機転換を進めてきました。そして「周囲の農家も有機転換しなければ意味が無い」と考え、周辺農家に声をかけていきました。そしてパッレガマ村の村長は、以前キリウェラガマの村長をしており、有機紅茶プロジェクトにとても興味を持って、支援してくれた方だったため、村としても我々に働きかけてくれました。

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パッレガマでの有機栽培先駆者アーリヤセーナさん

この地域には、バイオガス・プラントを作る技術を持った農家がいたり(有機転換に参加しています)、近隣の紅茶工場が茶葉の買取に非常に厳しい品質基準を設けているために農家の茶摘み技術が高かったり、など、色々と期待が高まります。一方で、デニヤヤ市街に近いため各世帯の持っている土地が小さく、有機転換圃場も小さ目です。また、既存の3村に比べて農薬の散布が多いので、有機転換参加農家の圃場も汚染の恐れがあります(パルシックへの茶葉の出荷は、全転換圃場からの土壌サンプルのテストを行ってから開始します)。ただし、農薬散布が多いのはリスクではありますが、逆にこの地域で有機転換プロジェクトをすることで、周辺農家の農薬使用にもストップをかけることができると考えています。実際、有機転換を開始した農家は周辺の圃場の持ち主を説得して、農薬の散布を止めました。

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新しい参加農家バジラさんの旦那さん(奥さんが畑を管理していて、参加メンバーになっています)とパッレガマ担当の新スタッフのスニータ

ちなみに、スリランカでは今年5月にシリセーナ大統領が、スリランカで使われている化学除草剤の主成分であるグリホセートの輸入、使用禁止を発表しました。

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デニヤヤで手に入る茶栽培に使われている除草剤

農薬はデニヤヤでは金物屋さんの奥の方にひっそり並んでいますので、禁止令が出てからすぐに金物屋の店主に聞いたところ、在庫はほとんどないし(本当かどうかは疑わしいですが。。。。)、新たな入荷も無いよ、と言っていました。これまでもスリランカでは農薬の乱用による健康被害が深刻化したため、何度かグリホセートの規制を試みてきましたが、うまく行きませんでした。ですが、今回は新政権下での挑戦に期待が高まっています。この挑戦がうまくいけば世界的にもスリランカの農業が環境(人間も含めて)への負荷の低い農業として、注目されるのではないでしょうか。 (デニヤヤ事務所 高橋知里)