PARCIC

西岸地区での地域循環型農業事業

パレスチナ:北アシーラ住民と豆の収穫会

2019年からヨルダン川西岸地区のナブルス県北アシーラ町で、循環型社会のモデル形成事業を行っています。家庭でゴミを分別して集めた生ゴミを用いた堆肥を作っています。2020年には、生ゴミ堆肥が植物の発芽と成長に与える影響を、他の堆肥と比較して調べるため、地域内に温室を設置しました。

温室の設置についてのレポートはこちら。

これまで、キュウリやレタス、ブロッコリー、イチゴ、トマト、豆類など、10種類以上の作物を植えて堆肥の効果を調べてきました。栽培した野菜は北アシーラの八百屋で販売しています。中でも豆類は、比較的育てやすい野菜のひとつですが、成長時期は天候が涼しい期間に限られています。たくさんある品種のうち、現地でよく消費されるのが「スナップエンドウ」と「サヤエンドウ」です。パレスチナでは、エンドウ豆を使った料理がたくさんあります。エンドウ豆、にんじん、羊肉や牛肉を入れた「ウージー」という炊き込みご飯は、アラブの定番料理です。スープやサラダに、生のままスナックとしても食べられます。またエンドウ豆の藁は動物の飼料としても使用されます。

3月の春日和の1日、家庭でゴミの分別を行っている住民を温室に招待して、豆の収穫会を行いました。参加者はゴミ収集から堆肥の製造、そして堆肥の土と植物への利用という循環のプロセスを学び、生ゴミから作った堆肥を使って栽培した豆の収穫を行いました。参加者のなかには、北アシーラの八百屋で野菜や果物を購入して試したという人もいましたが、温室に来たのはみんな初めてでした。

農業専門家サーデクが、4種の堆肥を使ったハウス実験の取り組みを参加者に説明します

サーデクが、豆の摘み方のコツを共有。片方の手で豆のつるを持ち、もう一方の手で豆の鞘を引き抜きます

参加者たちは新鮮な豆をその場で食しながら、袋がいっぱいになるまで収穫しました。 自分たちが分別した生ゴミから作った堆肥で育てた豆の味は、甘くて、深みのある味わいで、一番おいしいと参加者全員が一致しました。また、北アシーラの八百屋で以前イチゴを購入したという参加者は「初めて生ゴミ堆肥を使って栽培したイチゴを食べたとき、化学肥料が存在しなかった子供の頃を思い出した、近所の人や子供たちと一緒に豆を食べることがとても楽しみ」と話してくれました。参加者の笑顔のおかげで、パルシックにとっても楽しい収穫会となりました!

豆の平均収穫量は20~25kg。今日は家族のためにきたという参加者が見せてくれました

大人だけでなく、子どもたちも収穫を楽しみました。

ほら、こんなに大きな豆がとれた

(ラマッラー事務所 ヤラ)

※この活動は「北アシーラにおける循環型社会のモデル形成」事業の一環です。地球環境基金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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