パレスチナ西岸 ボランティアと農家をつなぐ1000本のオリーブ -1 からの続き
開会式では、パレスチナ農業復興委員会(PARC)ナブルス支部のアブー・サリさんがボランティアの人びとにこう呼びかけました。
「オリーブの木を植えることは、私たちパレスチナ人にとって大きな意味を持ちます。オリーブの木は、この土地に根を張って生きてきた私たちのアイデンティティに深く関わるのです。切り倒されようとも焼き払われようとも、私たちはオリーブの木を植え、育て続けます。また、ボランティア精神、助け合う精神は、パレスチナの土地に昔から息づいているものです。今日は皆さんで、その伝統に立ち返って、楽しく植樹をしましょう。」
開会式でオリーブ植樹の意義について語るアブー・サリさん
開会式の後、ボランティアさんは9つのグループに分かれ、植樹を行う農地に向かいました。農家さんの指揮のもと、準備していた穴一つ一つにオリーブの苗木を入れ、土をかぶせていきます。空模様が怪しくなるなか、なんとか雨が降る前に作業を終えようと各グループで協力しあい、着々と木を植えていきました。おかげで、予定していた本数全てを植えることができました。
インド人留学生とパレスチナ人女子大学生のボランティア4名を受け入れた農家のムハンマド・ターヘルさんは「みんな率先して手伝ってくれて助かりました。何よりも、楽しく木を植えることができた。感謝しています。」と話してくれました。
参加したボランティアさんからは、「ジャマインを訪れたことも、山の上の農地に行ったことも、農具を使ってオリーブの木を植えたことも、何もかもが新鮮だった。」「面白かった。近日中に他にもオリーブ植樹イベントがあったら参加したい。」などの声が寄せられました。また、なかには「もっと農家さんの助けになるよう、穴を掘るところから手伝えればよかった。」という意欲的な意見を下さった方もいました。
今回植樹したのは、2年物のオリーブの木です。同じ2年物でも大きさにばらつきはありますが、背が高いものは次の秋には実をつけ始めます。今回参加した下さったボランティアさんと農家さんがこれから同窓会のように、収穫の時期に木を囲んで集まるようになればいいなと思います。まずは、植えたオリーブの木がすくすく育つように、専門家とともに農地を訪れ、成長を見守っていきたいと思います。
(パレスチナ事務所 廣本)