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ガザの学校生活 試験結果、発表の日!

パレスチナでは、以前の記事でお伝えしたタウジーヒ試験(中等教育の最終学年に行われる全国一斉試験)の結果が8月3日に発表されました。今年、長女のラガッドがタウジーヒを受験した現地スタッフのタグリードが、発表当日の様子を報告してくれました。タグリードにとっては初めての子どもの受験で、娘以上にドキドキハラハラの結果発表だったようです。

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高校卒業資格試験のタウジーヒの結果発表当日、結果を伝えるショートメールが携帯電話に届く午前10時まで、神経をすり減らしながら、その時を待ちました。様々な感情があふれ、心拍数も上がります。娘の試験が成功したのか失敗したのか、はたまた、いくつかの科目の再受験が必要なのか・・・。

ついに、午前10時になりました。家族みんなが黙っていたので、ショートメールの受信音がはっきりと聞こえました。数秒間ちゅうちょして、それでも勇気を出してメッセージを開きました!

「ジャワール(Jawwal、パレスチナの通信会社)は、あなたの成功を祝福します。タウジーヒの結果は85点です。」 *得点は、必須4科目(アラビア語、英語、歴史、数学)と基礎4科目(宗教、地理、理科、情報)のうち高得点の2科目の合計を100点換算したもの

結果が信じられず、夫に見せて「本当に85か、58の間違いではないか」と聞きました。 彼は喜んで「85だよ!」と答えてくれました。 私は興奮して飛び跳ねて、娘のラガッドを抱きしめました。そして幸せの涙があふれてきました。

30分もしないうちに、大きなお盆に載せたお菓子とスピーカーを持った私の母と義理の姉妹たちが家にやって来ました。みんなで成功を祝う歌を歌い、楽しく踊りました。親戚や友人、同僚、パルシックが支援している女性たちからの祝福の電話で、私の携帯電話は鳴り止みませんでした。幸せは家の中だけにとどまらず、近所の人たちも一緒に「マブルーク(おめでとう)」と言ってお菓子を食べ、コーヒーを飲みました。娘の努力は報われ、成功の実を刈り取ることができました。

合格した学生はお菓子やプレゼント、お金を受け取ります。

タウジーヒは、多くのパレスチナ人が経験するイベントの1つです。 (パレスチナでは、日本の高校にあたる中等教育が2年間あり、この2年目にタウジーヒを受験する。なお、2019年の中等教育修了率は61.2%。)

今年は、新型コロナウィルスから学生と職員を守るため、様々な予防措置をとって試験が行われました。パレスチナ自治政府経済省は、今年パレスチナ人学生の71%以上がタウジーヒに合格したと発表しています。厳しい政治情勢とコロナ禍にもかかわらず、試験に参加した東エルサレム、ヨルダン川西岸、ガザ地区の学生82,924名のうち、59,128人が試験に合格しました。

実際、学生たちは今年も新型コロナウィルスの影響を受け、ほとんどの授業がオンラインでした。また、ガザでは、5月にイスラエルとの間で11日間に及ぶ武力衝突があり、子供を含む232名の死者、1900名以上の負傷者が出ましたが、試験はその約1か月後に行われました。

テストの結果は、インターネット上と、パレスチナの通信会社のジャワールとオレドー(Ooredoo)からのショートメールを介して発表されました。結果を受け取った後、学生たちはその詳細を確認するため学校に向かいます。そして、大通りでは 、学生の成功を祝した花火とパレードが始まります。今年は、学生もその家族も大変な思いをしましたが、多くの家が成功という贈り物を味わいました。 9か月以上も頑張ってきた学生やその家族は、幸せを受け取るのにふさわしいでしょう。

パルシックのスタッフからのお祝い

(ガザ事務所 タグリード)