2019年10月9日にトルコがシリア北部のクルド人支配地域への侵攻を開始し、この地域に住んでいた約20万人が戦闘を逃れるため国内避難民となりました。パルシックは、シリア北東部ハサカ県へ避難した国内避難民1,700世帯に、食糧バスケットを配布しました。
ハサカ県では、長期化する内戦により物価が上昇し、人びとの生活を苦しめていました。トルコによる侵攻の影響でさらに状況は悪化、物流が止まり、侵攻前と侵攻後だけで、物価は20%も上昇しました。また、この地域は12月~2月の冬季には、雪が降るほど寒く、避難場所での環境はとても厳しいものでした。
2020年12月にはシリア北西部のイドリブ県近郊で、シリア政府軍と反体制派の戦闘が激化し、多くの団体がこの戦闘により被災した人々への緊急食糧支援を一斉に開始したため、物資の供給が追い付かず、ハサカ県での配布活動用の食糧調達にはかなりの時間を要しました。また、雪の影響で道路状況が悪く、雪解けの2月に入りようやく配布を開始することが出来ました。シリア国内の経済が悪化しているなか、国内避難民は収入を得ることが困難となっているため、食糧配布はとても喜ばれました。
配布した食糧の中身は、避難した人達が調理せずに食事が出来るように、缶詰めを中心にしました。食糧配布後しばらくして行ったモニタリングでは、役に立った食糧品で1位がツナ缶、2位がチーズ、3位がホモス(ゆでたヒヨコマメに、ニンニク、練り胡麻、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状の料理。シリアなど中東の国々では定番のメニュー)という結果になりました。
また、98.8%の世帯が配布した食糧に満足との回答で、今後どのような支援が必要かという質問に対しては、75%がさらなる食糧支援、12.5%が子どもの教育支援と回答しました。
今回は、緊急支援という事で、1回の食糧配布しか行うことは出来ませんでしたが、今後も被災した人びとへの支援が行き届いていない場所で、ニーズにあった支援を行っていきたいと思います。
※この事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成および皆さまからのご寄付により実施しています。