スリランカ東部、トリンコマリー県のムトゥールは、美しい海に面した静かな町です。同時に2006年に内戦が再燃したとき一番に政府軍による攻撃を受けた 町でもあります。灌漑用水をめぐりスリランカ政府軍とLTTEが最初に戦闘があったのです。特にタミル人の居住地域である集落には、政府軍からの大規模な空爆が行われました。それから2年以上経過した2009年に入っても大きな建物には銃弾や砲弾の跡が見られ、修復は一向に行われていませんでした。天井や壁に穴があいた壊れた教室の中で授業を受けたり、崩れかけた校舎を避けるように校庭に椅子を持ち出して青空教室で勉強をする子どもたちの姿も見られました。そこで、2009年4月より住民参加型の学校修復事業を実施しました。
地元の教育省の協力を得て最も被害の大きい学校12校を選定し、教師と保護者で組織するSocial Development Society (SDS) で相談して各学校で修復したい内容を決め、SDSが中心となって修復作業を実施しました。9月からは、日本人のプロジェクト・コーディネーターを現地に派遣し、修復作業は順調に進み、1月の休みが明けてからは穴の開いていない教室で授業を受けられる子どもや、新設された図書館で本を読む子どもの笑顔が見られるようになりました。