2019年10月12日の台風19号による被災から3ヶ月が経過した1月中、パルシックは
① 暖房器具や毛布等の物資支援
② ほっと一息つけるお茶会サロン開催
の2本柱で栃木県の支援活動を継続しました。今回支援対象とした栃木市では3,690世帯、佐野市では1,500世帯が、床上までの浸水被害に遭いました。浸水被害の恐ろしいところは、家が全壊する訳ではないので、ひとたび公共の場から廃棄された家具が無くなり、道路の水や泥が撤去されてしまうと、外から家屋内の被害が見えづらいところです。
一見普通に見える被災世帯に入ると、順番待ちのため、板で仮補修してある床から湿気を帯びた底冷えのする空気が上がってきます。床には布団や服を敷き詰めて、でこぼこながらも何とか歩けるようにしています。一度水に浸かった木製ドアは変形し、靴箱などもカビが生えるので廃棄せざるを得ません。
高齢世帯も多く「家にいると気が滅入るので、なるべく外に出るようにしている」「被災後、一度も自炊をしていない。自宅で風呂に入っていない」、また半壊した持ち家で冬を過ごし「家の中の状況が何も変わらず、すべて億劫に感じる」という声を聞きました。特に高齢被災者は、明らかに支援が必要なのに我慢してしまう点も、際立ちました。
パルシックのような県外の市民団体が“被災世帯に必要な支援を届ける”ために重要な鍵となったのが、栃木市社会福祉協議会や佐野市役所危機管理課、栃木市国際交流協会といった行政と、とちぎ市民活動推進センターくららやとちぎボランティアネットワークなど県内の市民団体との連携でした。しかし、被災直後には職員自身が被災者であったり、被災世帯からの泥かき出しが最優先事項であったりと、1から始める連携がすぐ機能するとは限りません。
今後に備える防災は、市町村が被災する以前から利用可能な資源を情報交換し、NGO、民間、行政との連携体制を築いていくこと、身体の自由が利かない高齢者が増える中で避難や身の回りのお世話について話し合うこと、これまた増加する外国人居住者との緊急や支援情報伝達のシミュレーションをしておくこと、が大事になってくると感じました。
(栃木担当 谷口 加奈)
※この事業はジャパン・プラットフォームからの助成によって実施しています。