パルシックが理事を務める東ティモール・コーヒー協会(ACT)では、毎年、コーヒー収穫がひと段落する10月にティモール・コーヒー・フェスティバルを開催しています。2020年は気候変動の影響でコーヒーの収穫が2カ月近く遅れたため、コーヒー・フェスティバルも遅れて11月9日~13日に開催されました。東ティモールのコーヒー生産者や輸出業者、コーヒーショップやバリスタたちが1年の成果を発表し合い、労い合うこのイベントも、2016年から今年で5回目を迎えます。メインとなるのは全国からコーヒー生産者が参加するカッピングコンペティション。最終日には10位入賞者が発表され、イベントを支えてくれているスポンサーのみなさん、コーヒー業界の仲間たちから盛大に祝福されます。
このカッピングコンペティションに通常は東ティモールのコーヒーに関心を持つ、スペシャリティコーヒー協会の資格を得た国際審査員が参加しているのですが、今年は新型コロナウィルス感染症の影響で招待することができませんでした。そのため、今年は6月から東ティモール人審査員を育てるためのカッピングトレーニングを実施し、中でも豊富な経験を持つティモール人審査員が中心となって、全国から集まった89サンプルのカッピングを実施しました。トレーナーそしてカッピングコンペティションの主審を務めたのは、オーストラリアで生まれ育った華人系ティモール人のダニエル。1975年のインドネシア軍侵攻後にオーストラリアに逃れたダニエルの両親は、東ティモール独立後にダニエルたちを連れて東ティモールに戻りました。ダニエルは首都ディリでベトナム麺とこだわりのコーヒーを提供するレストランを経営し、ディリ市内に多くのバリスタを育ててきました。
マウベシコーヒー生産者組合「コカマウ」からはカッピングコンペティションに20サンプルを提出しました。これまでにナチュラル製法やハニー製法といった新しい加工方法を試みているグループからのサンプルが中心ですが、どのグループも参加証が得られることを楽しみにしているので、毎年できるだけ多くのグループからサンプルを提出するようにしています。これまでのコカマウの入賞成績は2018年5位(ロビボグループ/水洗式製法)、2019年9位(ルスラウグループ/ハニー製法)でした。
今年のコーヒー・フェスティバルは、2021年10月から開催されるドゥバイ・エキスポへの参加実行委員会が企画する「エキスポに向けて~ドゥバイへの道」のオープニングと共催という形をとり、最終日の会場はなんとディリ国際会議場。コカマウからは組合長、事務局長をはじめ14名ものメンバーがトラックに乗って遠路はるばるやって来てくれました。パルシックブースではコーヒーチームリーダーのネルソンがコーヒーを、栄養事業のリアさんがアロマ・ティモールのコーディアル、ヨーグルトケーキを提供しました。
さて、フェスティバルのクライマックス、10位入賞者の発表です。コカマウからはエルダウトゥバグループのハニー製法が6位に入りました!コンペティションへの参加は賞をとることが目的ではない、といいつつ、やはり評価されることは嬉しいものです。エルダウトゥバは今年8月のオンラインコーヒーツアーで訪れた場所でもあります。新型コロナ感染症、気候変動といろんな要因に振り回されながら乗り切った今年のコーヒーシーズンを、たくさんのコカマウ組合員とともに明るく締めくくることができました。
(東ティモール事務所 伊藤 淳子)