マウベシでのコーヒー集荷は、例年8月がピークになります。今年は、一番早いグループでは6月1日から加工をはじめる予定にしていました。ところが、5月・6月は雨が一段落し雨期が終わったかなあと思うと、再び大雨が続く毎日で、なかなか収穫・加工をはじめることができませんでした。長雨はマウべシだけでなく、東ティモール全土に影響を与え、6月の大雨では南部地域で洪水のため3名の命が奪われました。道路はあちらこちらで、陥没や土砂崩れが起こり、パルシックスタッフも悪路と闘いながら、集落を訪問していました。
7月中旬になってやっと雨も落ち着き、毎年監査を受けているJAS有機認証の現地調査も無事に終了しました。監査日程がもう1週間早ければ、大雨が続いており、訪問できる集落はかなり限られるところでした。
昨年のコーヒーは大豊作で、組合員の中には3千ドルの収入を得る強者も出ました。しかし、大豊作の翌年は裏作となり、収量が落ちてしまいます。加えて、季節はずれの大雨の影響で、せっかく赤く色づいたチェリーも収穫することができず、地面に落ちてしまうものが多く出ました。そのため、悲しいことですが、今年の収量はかなり減る見込みです。さらなる追い打ちは、コーヒーの国際市場価格が昨年12月から下落傾向にあり、コーヒー農家にとってとても厳しい年となりそうです。
しかし、そのような逆風にも負けることなく、組合員たちはチェリーの収穫・パーチメントへの加工を懸命に行っています。そして、倉庫にはすでに68トンが集まっています。一番の繁忙期の8月が過ぎ、集荷量は少しずつ減ってきていますが、それでも先週から今週にかけて16トンを集荷しました。
先週からはマウベシの倉庫からディリの倉庫にパーチメントの運搬も開始、パーチメントからグリーンビーンへの二次加工の準備をしています。第一陣の二次加工は今月中旬からの予定です。パーチメントを機械で取り除き、その後女性たちがハンドピックで生豆を丁寧に選別します。そうして選ばれた豆が麻袋に詰められ、輸出の準備が整います。新豆を日本の皆さんに向けて送り出すまであともう少し。そして新豆は長い船旅を経て、日本に到着します。どうぞお楽しみに。
(東ティモール事務所 高橋茂人)