6月22日から24日の3日間、5月に行われた1回目の電子バウチャー入金に続き、2回目の入金がハラン市内の2軒のスーパーマーケットにて行われました。
このハラン市には、非常に簡素なテントや建設中の建物に暮らすシリア難民世帯がたくさんいます。彼らは、日雇いの仕事を何とか見つけられても、得られた収入平均はわずか189.21リラと、トルコ人の最低賃金の15%にも達することができません。中でも深刻な問題は、支援対象世帯の約半数の世帯に暮らす子どもたちが学校に通わずに、安い賃金で働く大人のシリア人よりもさらに安い賃金で、家族の生活のために長時間働いていることです。
同市でのこのような状況を踏まえ、2015年の冬から2016年の春まで行った支援と同様の電子バウチャーによる食糧支援を継続することとなりました。
5月の始めに各世帯に配布された電子バウチャーの1回目の入金では、利用者は2015度にも同様の支援を受けていることから、混乱が生じることもなく、みんな穏やかに買い物や支払いを済ませていました。買い物かごの中を覗いてみると、お米、砂糖、油、紅茶といった必需品に加え、鶏肉や卵といったものが入っていました。あるお母さんに今日どんな食事を作るのか尋ねると「お肉を焼いて家族に食べさせてあげるよ」と答えてくれ、また別のお母さんは「子どもたちは鶏肉が好きなんだけど、今日はもっと他に買わなければいけないないものがあるから鶏肉は買わなかった」と、限られたバウチャーの金額をとても慎重にやりくりされていることが窺えました。
事前の調査では、電子バウチャーが配布される以前は肉、果物、牛乳といった食品の摂取はほぼ0%でした。電子バウチャーの配布によって、生きる為にまず第一に必要である食糧を確保し、明日に備える糧となってくれることを願わずにはいられません。
そして、2回目の入金を一週間ほど前に控えたある日、トルコ政府によって、ハラン市内に住むシリア人家族のテントを全て撤去するという大きな出来事がありました。これによって、バウチャー配布対象者として登録されたシリア人家庭の多くが、移動を強いられることとなりました。移動後は、ハラン市の中心部から離れた場所、あるいは市内の1つのアパートに複数の世帯で住んでいます。ハラン市内でバウチャーを利用できるスーパーマーケットは契約している特定の2店舗のみのため、食糧の購入にどれほどの影響があるか懸念されました。今回の入金でのモニタリングによると、移動先が遠すぎるため来られなくなってしまった家庭もありましたが、移動後も引き続き、指定のスーパーマーケットへ購入に来ている世帯は多いようでした。前回の入金の際にお会いし、当団体のスタッフを覚えてくれていた人たちとも会うことができ、元気な笑顔を返してくれました。
2016年は6月6日から始まったラマダン月。イスラム教の人びとにとって、とても特別な月です。購入する商品は普段の食糧品に加え、ナツメヤシの実やリコリス菓子といった、ラマダンの間あるいはラマダンが明けてから数日間続くお祝いの間の、特別な食事のための食糧品が含まれたようです。
日没後、家族が囲む食卓にも笑顔が咲きますように。
(シャンルウルファ事務所 宮越)