2015年10月からシリアとの国境県であるトルコのシャンルウルファ県にて、シリア難民の家族への食糧支援を続けてきましたが、2018年5月をもって食糧支援事業を一旦終了しました。
トルコでは、政府によるシリア難民への社会福祉政策の1つとして、緊急ソーシャル・セーフティ・ネットプログラム(ESSN)を実施しています。これは脆弱なシリア難民世帯を対象に、生活費の補助として毎月1人120リラ(約2,400円)の現金を給付する支援プログラムです。このプログラムの支援を受けるためには、受給資格のある世帯は申請に必要な書類を揃えて役所に提出する必要がありますが、パルシックの活動地域は農村地帯で町の中心地から遠いこともあり、多くの世帯は申請方法が分からなかったり、書類を入手できなかったりして取り残されていました。パルシックは2017年6月から、それらの世帯にESSNプログラムへの申請方法を伝え、申請に必要な書類を揃えて役所に提出できるようにサポートする活動も併せて行いました。彼らがESSNプログラムからの支援を受けられるようになるまで食糧支援も継続しました。その結果、1年間で156世帯(約850名)がESSNプログラムの支援を受けられるようになりました。
活動地域には、農作物の収穫時期に季節労働の働き口を求めて移動する世帯が多く暮らしています。また、家賃が払えなくなって農村に移ってくる世帯や、支援を行っている団体がいるからという理由で移動してくる世帯もいます。期間中にも128世帯が活動地域から引越していき、329世帯が引越して来ました。毎月世帯に変更が生じるため情報収集は大変でしたが、スタッフが2チームに分かれ、手分けをして1世帯も取りこぼすことがないよう注意を払いました。
食糧支援はいったんを終了しますが、同地域では子どもの保護事業は継続して実施しています。これからもシリア難民世帯に寄り添いながら必要なサポートを行っていきたいと考えています。
※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、みなさまからのご寄付で実施しています。
(シャンルウルファ事務所 大野木)