2015年10月から、シリアとの国境県にあるトルコのシャンルウルファ県にて、シリア難民の家族への食糧支援を続けてきました。テントや土壁の手造りの住居で、農作業をしながら避難生活を送るシリア人家族の生活状況は、支援開始当初から大きくは変化していません。継続的な食糧支援により最低限の食糧は確保され、多くの世帯で子ども用の食品や衛生品などが購入できる余裕もできましたが、慢性的な食糧不足は続いています。パルシックでは、供給される食糧だけでなく、シリア人家族が自家用の農作物を栽培・収穫できるよう、シリア人の食生活や土壌に適した野菜(モロヘイヤ、オクラ、トマト、キュウリ、ナス等)やハーブ(ミント、パセリ)の種を配布し、避難先での家庭菜園の普及も促進しています。
シャンルウルファ県に住むシリア難民はトルコ人が運営する農地で働き、農地の一部を自由に栽培できるスペースとして借りています。その場合、トルコ人農家は大抵、農地にシリア人家族が使うテントやシェルターを建て、家賃や土地代を無料にする代わりに、シリア人に農地の管理をお願いしています。
モロヘイヤは、シリア人はよく鶏肉と一緒に炒めて食べるのですが、トルコの農家ではモロヘイヤを栽培していないため、シリアやトルコ近隣より一般的な野菜と比べて高い価格で輸入されたものを購入しています。しかしパルシックが調査すると、このモロヘイヤの種をトルコ国内で入手できることが分かりました。そこで4月にシリア人世帯に種を配布し、借りている農地の各スペースで栽培を始めました。7月には1回目の収穫ができ、モロヘイヤは収穫してもまたすぐ育つので、どの世帯でも合計5回~6回ほど収穫することができました。
シリアでなじみのある食材を家庭菜園で採れるようになり、どの世帯もとても喜んでいます。
※この事業はジャパン・プラットフォームの助成と、皆さまからのご寄付で実施しています。
(シャンルウルファ事務所 大野木)