トルコでのシリア難民の子どもたちを支える活動では、2人のシリア人スタッフ、シバとマフムードが計画や活動内容を考えています。今回はその2人から、子どもたちと活動する想いを聞きました。
(シバ:トルコ事務所、チャイルド・プロテクション・オフィサー)
誰もがそれぞれの人生を生きていて、どんな状況でも一人ひとりの権利が尊重されなければなりません。戦争でさえ、誰からも、その人の権利を奪うべきでありません。子どもは、“子ども”として生きる権利があり、お金を稼いだり食糧を買えるように“おとな”として働くことだけが、尊重されるべきではありません。
“子ども”として、彼ら/彼女らには遊んだり、学んだり、夢を見たり、想像したり、希望を持ったり、自分の感情や意見を表現する権利があります。子ども時代の豊富な経験により、彼らは将来自立したパーソナリティを持つことができます。子ども時代には、恥ずかしがったり、恐れたりすることなく自己表現をしてよいのです。
子どもたちが自尊心を持ち、他者への尊重ができるようになって初めて、異文化社会からも尊重されるようになると思います。
(マフムード:トルコ事務所、チャイルド・プロテクション・オフィサー)
すべての子どもたちはおとなになる前に、天使の心を持っています。私はそんな子どもたちのために、子どもたちと一緒に活動することで自分自身も穏やかな気持ちになることができます。
シリア人の子どもたちは、戦争の後、大変厳しい状況で生活しています。戦争前から、都市部で生活する家族と、農村部で生活する家族では考え方に違いがあり、農村部で生活する保護者は子どもの発達や教育にあまり関心はありませんでした。そして戦争後、家族自身が厳しい経験をし、経済的困難に直面しながら生き抜かなければならなくなり、保護者の子どもへの関心は更に弱くなってしまったように感じます。子どもの権利や発達する可能性が、ますますないがしろにされるようになってしまいました。
私たちの活動は、まだほんの小さなもので、ほんの少しの子どもたちしか対象にできません。しかし私たちの活動を通じて、シリア人の家族が子どもたちの権利や教育、発達、将来を一緒に考えるようになってきています。この活動が長く続けば、私たちはシリア人の子どもたちの将来のため、シリアという国の未来のために、とても大きなことができると確信しています。
多くの支援機関は食糧支援等に事業が集中しており、子どもたちのことを本当に考えているとは思えないことがあります。私は日本のみなさまに支えられながら、子どもたちの生活を大切にし、シリアの再建に希望を持てる活動ができることに、心から感謝しています。
(シャンルウルファ事務所 シバ、マフムード、高田)