パルシックのトルコでの食糧配布は基本的にバウチャーカードの形態で配布していますが、ラマダン(断食)の終わる4日前の6月21日(水)に、パートナー団体より「配布可能な食糧バスケットがあるのでパルシックの活動地域で配布してもらえないだろうか?」と相談がありました。そこで急遽、シャンルウルファ市郊外に住むシリア人世帯、500世帯50村を対象とした、計1,532箱の食糧バスケット配布を実施することにしました。
パルシックの呼びかけで、ボランティア11名と運転手6名(軽トラック3台とワゴン車3台)とスタッフ8名(パートナー団体のスタッフも含む)の計25名が配布作業を担当することになりました。通常、ラマダン(断食)明けは祝日となり、日本の正月のようにお店が閉まるため、多くの人びとはラマダンが明ける前に服を新調したり、ラマダン明けのお祝いのための食糧を調達したりと、特にラマダン最終日は忙しく過ごします。そのような時期にも関わらず、多くのスタッフが配布作業を引き受けてくれました。
ただでさえ休日の土曜日でもあるラマダン最終日の仕事を避けるため、配布は木・金の2日間とし、万が一終わらなかった場合でも、土曜日は少人数で午前中に終わるよう予定を組みました。
配布1日目、木曜日。スタッフ全員が朝8時30分に集まりました。全員集合でホッとしたも束の間、まもなく到着する予定の食糧バスケット500箱を積んだトラックが、待てども待てども到着しません。お昼になってようやく、夜に到着するということが判明!早速に、計画が大幅に狂ってしまいました。
仕切り直して配布1日目、金曜日(ラマダンが終わる2日前)。いよいよ配布開始です。
対象世帯へは以前バウチャーカードの配布の際に一度訪問したことがあり、ほとんどの世帯の場所は把握はしていましたが、それでもシャンルウルファ市郊外の村はとても広く、事務所から村まで行くには1時間近くかかります。
無事に各世帯へ1セット(それぞれ中身の違う2箱)を、6人以上の世帯には2セットを配布しました。
・ 米 5キロ
・ 砂糖 5キロ
・ スパゲッティ 6袋
・ ブルゴル米 3キロ
・ ひまわり油 3リットル
・ バーミセリパスタ 3袋
・ 缶入りソラマメ 2缶
・ ジャム 2つ
・ トマトソース 2缶
・ レンティル豆 3キロ
・ 紅茶 400g
・ インゲン豆 3キロ
・ オリーブオイル 1リットル
・ タイム(香味料) 2パック
・ ツナ缶 2缶
・ ベジタブルバター 2リットル
・ 塩 500g
・ グリーンピース 1袋
1日目は予定より早い時間に約250セット(500箱)を配布終了しました。そしてその日の夕方、事務所に残りの約500セット(1,000箱)が届きました。1日目の配布数の倍あります。かかった時間を計算すると、2日目はかなりの時間を要することが分かり、本当に次の日(ラマダン最終日)で終わるのか怪しくなってきました。
ちなみにラマダン中は、食べ物だけでなく水も飲まない状況で、さらに外の気温は40度。かなり過酷な労働条件です。しかし集まったスタッフは、支援が行き届いていない村で暮らすシリア人の生活環境をよく理解していました。イスラム教のラマダン明けは、日本の正月のように大事な行事です。スタッフには、食糧バスケットを届ければラマダン明けのお祝いの食卓に、少しは花が添えられるとの思いがありました。さらに、ラマダンには「断食期間はお互いに寛容になりましょう」という意図があるため、過去に関わったこともある500世帯全てに届けたい気持ちもありました。
配布2日目。この日もスタッフ全員が朝8時30分に集まりました。そしてラマダンが終了する午後8時の2時間前、全チームはようやく午後6時に事務所に戻ってきました。一同ホッとするのもつかの間、ここでさらに問題発生!!どういうわけか、1村20世帯への配布を忘れていたことが判明したのです!
私は現場責任者として、ラマダンの終了直前にも関わらず家庭を持っているスタッフ、家の手伝いをする必要があるスタッフたちに、これから更に配布しに行ってくださいとは言えず、この20世帯に関してはお祝い終了後の配布を提案しました。しかしスタッフの希望により、数名がすぐに1台のトラックでその村に向かい、対象の全世帯への配布を終えることができました。事務所に戻ると、ちょうどラマダン終了の花火が上がりました。配布中は一緒にいたスタッフの携帯にそれぞれの家から、何度も何度も「今どこにいて何時に戻ってくるのか?」と電話が来ていました。
どのスタッフも最後まで配布活動に関わってくれた事に感謝をしています。パルシックはこれからも、さまざまな形で支援を工夫し、継続していきたいと思っています。
(シャンルウルファ事務所 大野木)