2009年にスリランカの内戦が終わり、2011年から各地で避難生活を送っていた住民が故郷であるムライティブ県コクライ村へ約30年ぶりに帰還しました。しかしながら、家屋と共に人びとのつながりも崩壊していたことから、パルシックはコミュニティ再建支援事業の一環として、2014年にコミュニティセンターを建設しました。
コミュニティセンターの建設完了後、住民間交流の場作りとコミュニティの活性化を目的に、子ども向けの塾や語学教室、女性向けの裁縫教室など様々なプログラムが提供されています。
スリランカでは毎年8月に、5年生(10歳)を対象に全国統一の奨学金試験が行われています。この試験に合格すると、13年(18歳)まで政府から毎月3,000ルピー(約2,800円)が支給されます。
7月末現在、学校は夏休みに入ったばかりですが、コクライ村の5年生8名が、コミュニティセンターで始まった試験対策集中講座に参加していると聞き、見学に行ってきました。
試験科目は、算数、理科、社会、英語、タミル語、シンハラ語、知能試験の全7科目で、過去問題を解きながら学ぶという実践的な内容でした。休憩1時間と昼食1時間をはさんで、朝8時から5時までと長時間に及ぶもので、、、もし自分が10歳の子どもだったら・・・と思うと、意識が朦朧としてきました。
先生も子どもたちの集中力を十分把握しており、同じ科目に長い時間をかけるのではなく、テンポよく集中力が持続するように科目を変えて教えていました。
休憩時間に先生とお話したところ「授業の準備や添削で午前2時まで作業をしている」と聞き、先生の子どもたちの教育への熱意に感動してしまいました。
この集中講座は5日間続きます。その後も、試験まで通常の授業は続きます。今年の奨学金試験は8月23日に実施され、このコクライ村から合格者が出たら、子どもはもちろんのこと親、そして村にとっても誇りとなり、励みとなるでしょう。合格することを祈りつつ、コクライ村のコミュニティセンターを後にしました。
(ムライティブ事務所 飯田彰)
(この事業は、日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。)