これからしばらく、開発が進み活気づきつつある一方で、残された課題・新たな課題に直面するジャフナの現状をお伝えします。
内戦終結から4年が経ち、町の開発が大きく進みつつあります。ジャフナの町には、それまでなかったような4階建、5階建の大きなビルも建ち始めました。ずっと建設が止まっていた町の中央にある商業ビルも最近増築が急速に進み、やっと上層階にテナントを入れる準備ができつつあるようです。
また、海外での需要が高いスリランカのカニの身をコロンボの輸出業者に送るための作業をする加工工場もこの1年の間に複数建設されました。新しく衛生的な工場には70人-100人の若い女性たちが朝から夕方まで働いています。
穴だらけでガタガタだった、ジャフナと南の主要都市アヌラダプラ、キャンディをつなぐ幹線道路のA9道路のワウニア以北の改修工事も昨年にはすべて終了し、今ではきれいな舗装された道路となりました。大型トラックやバスの通行量も増えました。コロンボへの移動も以前は半日かかっていたのが、今では8-9時間ほどで移動できるようになっています。
こうして開発が進み、町が再び活気を取り戻しつつある一方で、残された課題、そしてそれまでなかった新たな課題も浮かび上がりつつあります。
残された課題の一つとして、ムライティブ日誌にもありますが、ジャフナでも一部地域での地雷除去作業が今も続いています。A9道路沿いのモハマーレ地域は、2002年から2009年までLTTEと政府軍の軍事境界線となっていたところで、紛争中に多くの地雷が埋められました。地雷除去が続いていますが、一向に地雷マークが撤去される気配はなく、手作業で進められる地雷除去作業には気の遠くなるような時間が必要なことを実感します。
また、ジャフナやムライティブなどスリランカ北部には、いまだ軍の主要基地などが置かれ、村の人たちが立ち入れない地域(ハイ・セキュリティ・ゾーン:HSZ)が残されています。これらの地域は内戦中に政府軍が軍事施設として使用していたもので、人々は20年以上の間、自分の土地がある村を離れて親戚の家に身を寄せたり、キャンプで暮らしたりしてきました。ジャフナ北部のワリカム・ノース郡のHSZは今後、国際空港や国際港や軍事施設等として使用される予定です。この5月に政府はジャフナ県の6,381ヘクタールのHSZを正式に政府の土地として接収し、土地の所有者に4億ルピーの補償金を出すと発表しましたが、所有者たちは反発し、政府の方針に反対するデモを行っています。タミル系政党のTNAは、政府の措置によって9,900世帯(35,000人)が土地を失うこととなり、土地の所有者とともに裁判所に5,000件以上の提訴を行うとしています。今後の解決の先行きはまだ見えません。
(ジャフナ事務所 西森光子)