7月29日から8月2日まで、乾燥魚グループの女性6名とパルシックスタッフで、南部のウェリガマでの女性グループによるかつお節づくり、コロンボとワウニヤの乾燥魚市場を訪問しました。
約30年間に及ぶ内戦でスリランカの南北は分断されてきたため、北部の一般の人でコロンボ以外の南部の町を訪れた経験を持つ人はあまりいません。今回の視察先の南部の町ウェリガマ、その途中にある有名な観光地ゴールへの訪問は、女性たちにとってもパルシックスタッフにとっても初めての体験でした。その新鮮な喜びと視察を通して学んだこと、女性たちの感想をご報告します。
7月29日(金)
予定よりも遅れて朝8時過ぎに事務所を出発。途中のワウニヤで乾燥魚店を訪問し、品質、価格、生産地を確認する。乾燥魚店はジャフナのお店と同様の小規模な店舗が5-10軒ほど並んでおり、巨大な市場が形成されているわけではなかった。どの店でもマナー産のものが多く、よい品質のものを作れば、いつでも買い取るという店主が多かった。パルシックチーム全員の感想としては「パルシックの乾燥魚の品質がより高い」というものだった。
ワウニヤからアヌラーダプラ、プッタラム、チロー経由でコロンボに着。コロンボ着時には21時をこえており、朝早くに村から出てきた女性たちはぐったり疲れていた。宿に着いてこの日の活動は終了。
7月30日(土)
▲今回ボランティアで協力してくださったバーニさんとパルシックスタッフのアジットが2人で代表のニルミニさんの説明を通訳。シンハラ語から英語へバーニさんが、英語からタミル語にアジットが通訳。
朝7時過ぎにコロンボ事務所を出発し、11時過ぎにはウェリガマ着。
ウェリガマでは女性グループを支援しているローカルNGO、Sobakanthaの事務所を訪問する。Sobakanthaはコミュニティモビライゼーションのトレーニングを受けたニルミニさんという女性が1998年に始めた団体である。最初は、南部でも特に貧しいミリッサ地域での収入向上策として村でレンガ造りを始めた。その後小規模なマイクロファイナンス、ヤム作り、かつお節づくりなどの様々な収入向上活動を組み合わせて行っている。トリンコマリにも事務所を持ち、活動している。
今回の訪問の目的であるかつお節事業は、日本大使館の草の根無償資金協力の支援を受けたもので、近くのホテルに商品を販売したりもしているそうであるが、マーケティング、販売はまだまだ課題であるとのこと。もっと他の地域でも売りたい、ジャフナでも売りたいとのこと。
用意してくれた昼食をご馳走になった後、実際に村での活動を訪問する。まず、大使館の支援で購入したかつお節づくり用のオーブンを拝見する。薪式のオーブンで、魚を洗い内臓を取った後、数分間カレーリーフ、タマリンド、ターメリック、塩を入れたなべで煮た後に、オーブンに入れて3日間火を通せば完成するというもの。皆興味深く拝見する。翌日オーブンに入れるまでの過程を見せてもらう。
▲大使館の草の根無償資金で購入した薪式のオーブン、雨期でも生産できる。
各グループで行っているかつお節以外の工芸品の製造場所も見学する。玄関マットなどに使われるマットづくり。細かな作業のレース作り、携帯カバーや人形、小さなかばんなどのニット製品など、さまざまな製品を見る。いずれもよくできたもので、皆で興味深く見学した。一通り歩いて見て回ったところで、この日の活動は終了。
▲パルシックスタッフが喜んで購入したマット、ジャフナではこのタイプのマットは見かけない。
7月31日(日)
▲パシックの女性グループも
魚を開く作業に参加
8時半にゲストハウスを出発し、オーブンでのかつお節作りを見学、実際にパルシックの女性も手伝わせてもらう。手で魚の内臓と頭を取った後に洗い、沸騰したなべに入れて数分間ゆでた後、魚を半分に割って骨をとるという作業。短時間でできるもので、非常に簡単。後は、オーブンに入れてしまえば終わり。
その後、コヤ(ココナツの皮から作るロープ)工場を見学する。コヤ作り用の機械が置かれており、工程の説明を受ける。 一通り活動を見学した後、双方が感謝の言葉を述べて締めくくった。ニルミニさんはジャフナで事業を開始する計画もあるそうで、ぜひともジャフナを訪れたいとのことだった。パルシックとSobakanthaの架け橋となり、2日間通訳として参加してくれたバーニさんからは、数年前に訪れた際よりも女性たちが豊かになっているとの報告があった。以前は小さな古びた家だったのが、今は家にタイルが敷かれてきれいになっているとのこと。パルシックの女性たちもバーニさんの話をうなずきながら聞き、活動の成果、収入の向上を実感していた。
この日も用意してくれたお昼ごはんをご馳走になり、ウェリガマを後にする。途中のゴールとヒッカドゥワに立ち寄った後、この地域特産のジャーディという魚の加工製品店を見学する。水と塩とタマリンドに魚をつけ込んだもので、5年間保存できるとのこと。圧縮パックにして販売している。乾燥魚作り一筋で生きてきたカライナガルのリーダーは、他のマット作りなどではなく、このジャーディに関心を示した。
8月1日(月)
午前中にぺターの乾燥魚市場を見に行く。多くは卸売店で中には小売店もある。輸入物(インドネシア、タイ、台湾、ドバイなど)が多く、見た目がよく価格もさほど高くないため輸入品が増えているそう。ネゴンボ、マナー、ジャフナからの国産物も一部あった。ワウニヤのものよりコロンボ市場の干物は全体として品質がよく、価格が高かった。商店主たちは品質さえよければ、いつでも買い取るとのことだった。量よりも品質が大切、直接お店に発送すればよいとのこと。ただし、最初に幾分の前払い金を払うが、残りはすべて売れてからの支払いになるとのことで、実際にお金を受け取れるまでは時間がかかる。 乾燥魚市場の後新たに建設された鮮魚市場を訪問する。既に時間が遅く一部の店しか開いていなかったが、マグロなどの大型魚が見られた。その後、スーパーマーケットを訪れて、乾燥魚パックの品質、価格を確認し、この日の見学は終了。
視察旅行の締めくくりとして、女性たちと会議を持った。
(パルシック 西森光子)
後編へ続く