2011年2月15日から3月5日まで、ジャフナ県内の3つの地域(カライナガル郡アンバル漁協、ヴェラナイ郡トライユール漁協、トゥンプライ・イースト郡トゥンプライ・イースト漁協)で、各5日間の干物作り研修を行いました。乾期のこの時期、お天気にも恵まれ、干物作りに専念できた3週間でした。
スリランカの人々には日本人と同様に干物を好んで食する食習慣がありますが、干物の国内需要量を国内産のみでは賄いきれず、輸入した外国産干物に依存しているのが現状です。スリランカの干物の輸入量は1983年以来急激に増えていき、なかでも北部での戦闘の激化が干物の輸入を押し上げた要因の一つとされています。
内戦が終わり、北部での漁業が本格的に再開された今、ジャフナで干物作りを始める準備が整いました!パルシックは昨年10月からこの事業をスタートし、雨期が終わるのを待ち、ようやくこの研修へと漕ぎ着けました。
今回の研修では、日本から干物作りの専門家を招いて日本方式を取り入れ、より衛生的で低塩の干物作りの方法が伝えられました。具体的には、ハエや蛆の発生を防ぐために歯ブラシで血合いをきれいに取り除くことや、干物をより速く乾かして品質を高められるよう、魚を干す前に布巾で水分を取り除くこと、塩の量を減らして塩に漬け込む方法などです。
こうした新たな知識と、女性たちがこれまで培ってきたスリランカ方式が混ざり合うことで、より衛生的でありながら、スリランカの人々に親しまれる干物作りを目指しています。
ジャフナ県ではイワシ、アジ、タイ、エイ、エビ、イカ等、獲れる魚の種類が地域ごとに異なっており、地域の漁獲に合わせて多様な干物づくりが行われています。
研修に参加した女性たちは、干物作り・販売を通した収入向上、家計の安定に期待を抱き、研修後も懸命に生産をつづけていますが、現時点ではまだ収入が安定しないことから、より収入が低い寡婦世帯の女性は十分に参加できていません。
今後、参加女性を増やしていくことが、大きな課題の一つです。また、女性たちが工夫を重ねてより良質の干物づくりを行いつつ、「衛生的で低塩」という強みをうまく生かして、いかに販路を拡大していけるかということも課題の一つとなっています。
ひきつづき、今後とも干物事業の進捗について、皆さんにご報告していきます。
(パルシック 西森光子)