ゴミは、ヨルダン川西岸地区でもっとも深刻な環境問題の1つです。適切な処理を怠ると、天然資源と人間の健康の両方に悪影響を与えます。今年4月から、北アシーラ町で実施する循環型社会のモデル形成事業では、循環型社会の形成と住民の環境意識の向上、ゴミの分別と資源のリサイクル、生ゴミの堆肥化、地域の有機農業推進を目指しています。
4月、北アシーラでの事業はスーパーや八百屋の店主、農家組合、女性組合に向けた事業説明会の活動から始まりました。その後、学校における「ゴミ分別」文化を育むため、夏休み期間中に各地で開催されるサマーキャンプでワークショップを開催し、子どもたちとゴミによって生じる環境や社会の問題について考えました。
事業はこれから5年間かけて実施します。1年目となる今年は、村の大通りに面した20のスーパーや八百屋、活動に意欲的な家庭、学生を対象に絞り、現地の人びとが事業の全容を理解し、ゴミ分別活動に参加する準備をするため、集中的にトレーニングやワークショップを行います。
パレスチナには、ゴミの分別文化がほとんどありません。すべて一緒くたに捨てて埋め立てることが慣習になっているコミュニティにおいて、分別に参加し続けるモチベーション維持が困難なことはもちろん、未発達のゴミ分別産業とリサイクル業者の少なさは、ゴミ問題の持続可能な解決策を探すうえで、チームへの大きな障害となっています。
事業では、生ゴミ、ペットボトル・缶・びん、ビニールゴミ、紙ゴミを分別する予定ですが、パレスチナのような「リサイクル後進国」ではカラフルなゴミ分別ボックスも売っていません。自分たちで箱の色や開口部の形を工場に特注するため、予定よりも調達までに時間を要することになりました。8月末、イード(犠牲祭の祝日)の長いお休みが明け、工場からようやくゴミ分別ボックスが到着。これからパイロット地域の参加者に配布していきます。
分別後の生ゴミを堆肥化する堆肥舎は完成間近、堆肥を細分しふるいにかける特注の機械も9月末に堆肥舎内に設置される予定です。少しずつですが着実に前に進んでいます。
(ラマッラー事務所 ヤラ)
※この活動は「北アシーラにおける循環型社会のモデル形成」事業の一環です。地球環境基金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。