ヨルダン川西岸地区ジェニン県ベイト・カッド町に、広大な敷地を有した有機農業施設、マーン・パーマカルチャー・センターはあります。まるで植物のアミューズメントパーク。何種類もの野菜や植物が、すべて有機農法によってつくられています。
自分たちが取り組もうとしている有機農業とは実際どのようなものなのか、またその魅力を存分に知ってもらうために、11月25日、環境クラブ代表メンバーと同センターを訪ねました。
パーマカルチャー・センターは当初ジェニン県マルダという町に建設されましたが、イスラエルのアリエル入植地建設のため完全に破壊され、2013年に現在の場所に再建されました。年間降水量が300ミリ以下のベイト・カッドでは慢性的な水不足や干ばつに悩まされており、センターには貯水槽やため池が完備されているほか、水の蒸発を防ぐさまざまなアイデアが実践されています。
センター長のハッサンさんは“誰もが参加でき、体験できる農業実験場”をセンターのモットーとして、これまでにもたくさんの学生や農家を受け入れてきました。センターの機能をひとつひとつ丁寧に説明するハッサンさんに、メンバーたちも熱心に耳を傾け、質問していました。
代表して訪問したメンバーたちは、後日、訪問についてのプレゼンテーションを作成し、環境クラブのほかのメンバーたちに発表してアイデアを説明しました。センターで取り入れていた水耕栽培のメカニズム(野菜を、土を使わず水で栽培する方法)や、植物・魚・微生物の食物連鎖を利用したアクアフォニックといった高度な農法も含まれていて「もしかすると中学生には難しすぎる?」と思われた内容も、プレゼンテーションで分かりやすくまとめていました。「何でも質問して!」と黒板に絵を書きながら説明していたメンバー、アミールくんの姿がとても印象的でした。
堆肥づくりやゴミ拾いなど、環境クラブの活動成果が目に見えるまでには時間がかかります。しかし、学生たちの地道な活動が、近隣住民の意識変化につながり、また有機堆肥をつかった野菜が実際に食卓に並ぶとき、地域に重くのしかかるごみ問題が新たな価値や人材、人と人とのネットワークの創出につながっていくことを期待しています。
※この事業は地球環境基金の助成と皆さまからのご寄付で実施しています。
(パレスチナ事務所 関口)