ヒジャーブ(スカーフ)は、覆うことまたは隠すことを意味するアラビア語です。イスラム教の女の子たちは、イスラム教の経典コーランにおける神の教えに従いヒジャーブを着けます。神は、貞節な女性たちに「目を伏せ、プライベートな部分を守り、(魅惑させないよう)飾らず」にと伝えています。これは、女性たちが名誉と尊厳を維持し、謙虚さを保ち、性欲的な外的要因を取り除くことで、社会でイスラム教徒として認められ、虐げられることを防ぐためです。若い女性が思春期に達すると、頭をスカーフで覆うことが義務になります。 一部の家族は、スカーフをつけるかどうかの決定を娘に任せていますが、社会的プレッシャーとなると別の話です。
ヒジャーブを着けることで、女性たちは、愛、プライド、エンパワーメント、満足感、充実感、抵抗心、さまざまなプラスの感情を表現することができます。でも、悲しいことに、それは憎しみ、困惑、哀れみ、そして軽蔑感などネガティブな感情の引き金にもなります。ある人にとってはヒジャーブの着用は抑圧であり、またある人にとっては自由な選択です。アイデンティティの印として身につける人もいれば、精神性の証として身につける人もいます。通常、女の子は親族関係にない男性の前や、結婚者側の家族にいる男性メンバーの前でヒジャーブを着用することを求められます。着用は家の中と外の両方で、周りのアブない男性から、ホコリや有害な紫外線から、その他予想外の害を及ぼすすべてのものから女性を守るためです。
ヒジャーブは歴史を通して多くの国で着用されてきました。ヒジャーブをどう身に着けるかは、宗教の解釈に応じて個人ごとに異なります。たとえば、パレスチナの女性たちは60年代にヒジャーブを着用し始めますが、短いスカートと透明なヒジャーブという合わせ方は、当時のコミュニティの影響で、宗教的目的による着用は、年配の女性に限定されていました。80年代に着け方が一変し、年齢を問わずすべての女性が宗教的な目的で身に着けるようになります。
ヒジャーブの生地や色において、こうあるべきだという統一されたスタイルはありません。今日の世界では、ヒジャーブの着用スタイルは個人的な好みによります。頭と首を覆っているが顔は隠さない「ベール」と呼ばれるものが主流です。ただし、ヒジャーブとは、正式には手、顔、足元を除くすべてを、長くて緩く、透けて見えない衣服で完全に覆うことを指します。ヒジャーブを着ている女性をアラビア語ではムハッジャバと呼びます。一部のイスラム教の女性には、目だけを露出して全身着の衣服を身に着ける人もいれば、顔と手を除くあらゆる部分を覆う人もいます。髪の毛や胸の谷間だけ隠しておけばよいと信じている人もいれば、全く服装ルールを守っていない人もいてさまざまです。
最後に、ヒジャーブには、女性たちがどう歩き、話し、見、考えるかなどお作法の意味も込められています。それはすべて謙虚に行われるべきということですが、これは男性にも女性にも求められる行動です。
(パレスチナ事務所 ヤラ)