イスラム歴9月の5月17日(木)、各地のムスリムコミュニティで、年に一度私たちの心に訪れる大好きなお客さま、ラマダン(断食月)がやってきました。イスラム教徒は互いに、「ラマダン・ムバラク」と慎み深く言い交わします。この挨拶は「祝福のあるラマダンを」という意味。あるいは「クッル・アーム・ワ・エンタ・ビヘール」という人も。これはこの神聖な期間に「毎年あなたが健康でありますように」と、友達や行き会った人たちを歓迎する昔ながらの言葉です。
ラマダンの間、イスラム教徒たちは日の出から日没まで断食をします。この断食は飲食を断つことだけを指すのではありません。喫煙、経口薬の摂取、性的行為、他人の悪口、争い、嘘をつくなどのふるまいも控えなければなりません。ただし、病人や妊娠中・授乳中の女性、生理中や旅行中は例外となります。
最初の数日は本当につらいものです。特に道を歩いていて、たくさんのお菓子屋さんや飲み物屋さんが目に入るとき。それにこの一日中続く暑い天気と空腹の苦痛で、エネルギーを消耗しきってしまいます。でも、私たちは知っています。これを乗り越えれば、ラマダンがもたらしてくれるあらゆる美しいものや素晴らしいもので心が満たされるということを。
ラマダンは人と人の距離を近づけ、神、そして友達や家族とのつながりをより強くする月。信仰を新たにし、貧しい人びとを助け、そして痩せたい人にはチャンスをくれる、そんな月なのです。
さらに健康に関する研究によると、断食はあらゆる健康法の中でもっとも効果があるとも言われます。体内にたまった毒素の排出を助けてくれるからです。
この時期になると、道路や家々、ショッピングモール、オフィスなどが綺麗でカラフルなランタンで飾られていることに気が付きます。アラビア語で“ファヌース”といい、星々や月の飾りがついています。アラブ諸国ではそれぞれの国に独自の飾りと準備方法があって、例えば西岸の中心都市ラマッラーは大きなランタンの点灯と、演説や劇、楽しげな雰囲気の中ラマダンを祝います。しかし今年は、ガザやエルサレムの状況[1]を鑑み、ファヌースの点灯イベントは延期され、街頭のファヌースや飾りも少なくなっています。
パルシックパレスチナ事務所一同より、神聖なラマダン月を迎えるにあたり、みなさまと皆様の家族の平和と調和を願っています。
(パレスチナ事務所 ヤラ)
[1]「土地の日」からガザ地区で続く市民の抗議デモ。イスラエル軍との衝突でこれまでに死者100名以上、1万2000人が負傷したと報じられる。