PARCIC

ガザ地区女性世帯への生計支援

新型コロナウィルスの畜産への影響:FAOおよび畜産専門家からの報告

現在パルシックは、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、畜産による収入が激減してしまった女性たちへのクラウドファンディングに挑戦しています。

「私の名前はタグリード 羊を守り、ガザの女性たちの暮らしを守りたい」
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期間:2020年12月14日(月)~2021年1月28日(木)

女性グループが受けている影響については、「ガザ、新型コロナウィルス規制下での女性グループの活動」でも報告しておりますが、今回は、昨年11月に出されたFAOのレポートと畜産専門家からの報告をご紹介します。

FAO(国際連合食糧農業機関)のレポートより

2020年11月8日~14日の期間における新型コロナウィルス感染拡大のパレスチナの食糧システムへのインパクト、その問題と傾向について報告します。これらの情報は、農民、遊牧民、漁師、貿易業者、協同組合などの72の主要な情報提供者へのインタビューによって集められました。 また、FSS、ESDC、PARC、PUI、 SIFの協力によって二週間ごとにデータ収集が行われました。

<生産>

ガザ地区では農業に必要な資材の入手が困難となっています。 生産者、特に畜産農家は、コロナウィルスの猛威に加えて、家畜に病気が蔓延しており、生産性が低下していると報告しています。物資の輸入手続きの遅れは、ガザ地区での在庫不足につながっています。物資の価格は比較的安定していますが、在庫不足と輸送コストの増加により、飼料の価格は急騰しています。生産者からは、コロナウィルスに関連して、動物の病気、特に天然痘や口蹄疫が拡大しているとの報告がされています。家畜生産者と畜産農家からは、ワクチンが不足しているとの報告があります。また、ガザ地区の羊やヤギ農家は、餌不足のために生産性が落ちたり、栄養不足に陥ったりした家畜を屠殺するなどしています。

<市場>

特にガザ地区では、生産量の落ち込み、市場へのアクセスの制限、消費者の需要の低下の影響を受けて、農産物の取引量は、コロナの感染拡大前に比べて減少しています。移動制限により農場や市場へのアクセスがしにくくなったことで、生産は減少、また取引業者が大量購入を避け、近隣での少量取引をするようになったため、農産物の価格は下落しています。西岸地区の女性協同組合は、低価格で取引業者に直接販売することで、消費者へのアクセスが制限された状況を補っています。同様に、ガザ地区では、消費者の購買力が低下する中、協同組合は消費を引き付けるために低価格を維持し続けました。回答者のすべてが、収入は前年の同時期と比べると減ったと答えています。

<食糧消費>

半数以上の世帯が依然として食糧不安の状態にあります。
回答者の40%は、不十分または最低限の食糧消費レベルにあります。そして回答者の半数以上が、友人から食べ物をもらったり、あまり好まない食べ物を購入したりしなければなりませんでした。 回答者の30%は、子供を養うために、食事を減らすか、少量を摂取するか、自分で食事を控えるか制限をしなければなりませんでした。回答者の半数以上が野菜や果物の価格が上昇したと報告しましたが、鶏肉の価格はわずかに低下しました。 ガザ地区の特定の作物には、食料価格の上限が課されています。

ガザ地区畜産専門家からの報告

ガザ地区における飼料価格の上昇は、2020年11月1日、国際穀物理事会(IGC)の穀物価格の上昇に伴い、イスラエルにおける飼料価格が高騰したことにより始まりました。ガザ地区ではイスラエルから大半の飼料を輸入しているため、この価格高騰で大きな打撃をこうむっています。これにより、私たちが事業対象としている女性畜産グループだけでなく、ガザ地区全体の家畜生産者に悪影響が及び、彼らの利益が減少することは言うまでもありません。
また、ブブルセラ病や口蹄疫、天然痘、疫病、狂犬病などのワクチンが不足も深刻化しています。

WFPのレポートで報告されている口蹄疫の流行について、農業省獣医局長のハッサン・アッザム博士に問い合わせたところ、ガザ地区では、1年前を最後に予防接種を受けられていない羊や牛数頭に、口蹄疫の症例が現れたとのことでした。しかし、この症例のでている家畜はまだ少なく、爆発的感染には至っていないことに加え、ペストに感染した懸念のある症例のほうがより多く見られており、そちらの懸念のほうが大きいと指摘されました。また、農業省のワクチンの備蓄がすでに底をついてしまったことも明らかにしました。ワクチン備蓄の枯渇はガザ地区の家畜セクター全体を脅かし、損害をもたらす恐れがあります。状況を適切にコントロールし、疫病の蔓延を防ぐことができなかった場合、今後数ヶ月のうちに、すべての家畜、特に羊や牛に深刻な影響をもたらす本当の危機的状況に直面することになるでしょう。

これが私たちの対象としている女性畜産グループに影響を与えるかどうかはわかりませんが、基本的には対象女性グループもガザ地区の他の家畜農家と同じです。 私たちの事業対象地域ではこれまでのところ感染は確認されていませんが、ワクチンの有効期限が切れている羊については、他の農家の羊同様、こうした病気に非常に感染しやすくなっています。一刻も早くワクチンの予防接種を行わなければなりません。

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