PARCIC

ガザ人道支援

トラウマを抱えるガザの子どもたちに心のケアを[2]

サポートの対象とするのは子どもたちだけではありません。子どものケアに一次的に携わる保護者たちもまた、度重なる戦争やその後の苦しい生活で疲弊している中、様々な難しさを感じています。

保護者向けワークショップ

保護者向けワークショップ

そこで、4月及び6月、保護者に向けたワークショップを実施し、約120名が参加しました。ワークショップでは、保護者たちが悩みや問題を家の中だけで抱え込まないように、家庭でどんなことに悩んでいるかを他の保護者と共有する時間を設け、話し合いを行いました。中には「子どもが家の中で戦争ごっこばかりしている」といった悩みや「自分自身、3度にわたる戦争を経験して精神が不安定で、つい子どもに厳しく接してしまう」と、親自身がトラウマに苦しむ中で子どものケアを行う難しさを訴える意見もありました。

10歳になるオダイ・ザムザムくんは、2歳のときに終わったおねしょの癖が、昨年夏の戦争以降再発し、毎日続いていると言います。ワークショップでは、オダイくんのお母さんがその悩みを打ち明けてくれました。「寝る前に水分を取らせないようにしていますが、それでもおねしょが治らないんです。時にはそのことで叱ってしまうこともありますし、ごほうびをあげることで何とかしようとしたこともあります。でもいまだに治っていません」。こうしたケースについて、心理療法士が、子どもたちが抱える問題の本当の原因を知ることが大切であると説明した上で、どう解決していけばよいのか助言を行いました。

心理療法士の家庭訪問

心理療法士の家庭訪問

一方で「息子はこのプロジェクトで行っている活動やゲームについて熱心に話してくれますし、遠足の時には本当に楽しみに待っていました」というように、3月から行ってきた心のケアが子どもたちへ良い影響を与えているという意見もありました。また、ワークショップ終了後には「子どもたちのケアについて気が楽になりました」「子どもたちの問題について話し合う機会がもっとほしいです」といった意見が多く寄せられました。

現在は、日々のケアでなかなか回復の兆しが見られない子どもについて、心理療法士と社会福祉士が個別に家庭訪問を実施しています。訪問では、それぞれの家庭環境や家での子どもたちの様子などを確認したうえで、保護者と今後どのように問題を解決していくのがよいか話し合いを行っています。それでも症状が改善しない場合は、さらに重度のトラウマを扱う専門機関を紹介するなどの対応を取ることになります。

 

※この事業は、デル・アルバラリハビリテーション協会(Deir El Balah Rehabilitation Society:DBRS)の協力のもと、ジャパン・プラットフォームの助成によって行っています。
https://www.japanplatform.org/programs/gaza2014/

(アンマン事務所 大野木)